島はどのようにできるのか【第3回】
日本列島から約8000km離れた南太平洋トンガ共和国フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山(フンガ火山)で、2022年1月15日に大規模な海底噴火が発生し、日本列島にもこの噴火に起因するとみられる大気波動や津波が到達した。
昨年8月に小笠原諸島の福徳岡ノ場で発生した噴火に続く海域火山の爆発的噴火だが、どちらの噴火でも陸上の火山噴火には見られない現象が観測され、研究者が注目している。
前回(〈ただいま成長中の小笠原・西之島へ上陸! 噴出したての岩石から見えてきた噴火活動の物語〉https://gendai.ismedia.jp/articles/-/89661)まで、火山島の誕生と成長のプロセスを探る上で西之島が貴重な場所であり、遠隔観測や上陸調査を駆使して研究が進んでいることをお話しした(前野さんの記事は、こちら https://gendai.ismedia.jp/list/author/fukashimaeno から)。
この回からしばらく西之島を離れ、さまざまな火山島のでき方があることを紹介したい。今回は「福徳岡ノ場」を取り上げ、昨年起きた噴火や他の海域火山との違いについて考えてみる。
話題になり、注目された「軽石」
福徳岡ノ場は西之島より約300km南に位置する伊豆小笠原弧の代表的な海底火山の一つである。北北西60kmにある硫黄島、南南西5kmにある南硫黄島とともに、この地域の火山列を構成する。東京からは1300km離れており、この遠い南の火山を訪れるのは容易ではない。しかし、火山島のでき方や海底噴火の性質を理解するために、この火山で何が起きているかを知ることには大事な意味がある。
福徳岡ノ場では2021年8月に大規模な噴火が発生し、巨大な噴煙が広がる様子が人工衛星から捉えられたほか、海上保安庁や硫黄島に駐屯する自衛隊によってもその様子が確認された。
噴煙高度は16kmに達したが、このような大規模な噴煙が形成される噴火は、日本国内では久々のことである。同時に、火口が50〜100m程度の深さにある海底火山だった福徳岡ノ場では一気に陸化が進み、新島を形成するに至った。
そしてこの噴火で発生した大量の軽石は、西方に向かう海流(黒潮反流)により広域に拡散し、琉球諸島を中心として日本列島沿岸のインフラに影響を及ぼす事態にまで発展した。

この軽石による災害は昨年の噴火以来メディアが伝えている通りだが、火山噴火による漂流軽石の発生は今回が初めてのことではなく、過去の福徳岡ノ場噴火をはじめ、日本列島の海域火山ではたびたび起きている。しかし今回の噴火は規模がやや大きく、その影響が顕在化したと言える。