対話こそあなたの「思考力」を鍛える!その方法を池上彰に聞く

なぜ、いま思考力が必要なのか(3)
池上 彰 プロフィール

対話でよりよい考えに導くヘーゲルの弁証法

対話によって、「よりよい考え」を目指すこともできます。これは18世紀に生まれたドイツの哲学者ヘーゲルが体系化した「弁証法」に出てくる基本概念のひとつで、「アウフヘーベン(止揚)」といいます。

小池百合子東京都知事が2017年、築地市場の移転問題や新党(希望の党)結成記者会見などで「どう判断するか、そのためのアウフヘーベンが必要だということを申し上げた」などと使い、話題となった言葉です。このとき若い記者たちはきょとんとしていましたが、ヘーゲルやマルクスの書籍によく出てくるため、1950年代生まれの私や小池氏の世代にはなじみ深い言葉です。

小池百合子東京都知事
 

アウフヘーベンはドイツ語で「持ち上げる」という意味です。あるひとつのテーマや主張を「正」とすると、それに対するアンチの「反」が必ずある、その正と反とを「合」、すなわち総合して、より高みに持っていくということです。この過程のことを「正反合」と言います。

たとえば私は大学の講義やシンポジウムの場で、なんとかアウフヘーベンを実現しようとしています。ある意見を言っている人がいる一方で、その反対のことを言っている人もいるというとき、「相手はこういう反対意見を言っていますが、あなたはどう思いますか」とわざと意見をぶつけさせたり、あるいは「一見反対のことを言っていますが、この部分では一致できるんじゃないですか」と第三の道を提起することによって、話をまとめたりするように心掛けているのです。

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