対話こそあなたの「思考力」を鍛える!その方法を池上彰に聞く

なぜ、いま思考力が必要なのか(3)
デマや陰謀論になんて自分はだまされない、という自信が揺らいだのが、このコロナの日々。「自分の頭で考える」ことができないと、「他人に考えてもらう」ことになってしまいます。
「思考力」は、よりよい判断のために欠かせない力です。結婚や仕事、家族や職場での悩みなど、人生で出合うものごとのすべてが、正解はひとつではありません。
思考力をどうつければいいか、『社会に出るあなたに伝えたい なぜ、いま思考力が必要なのか?で池上彰氏が初めてアドバイスします。

なぜあの人は、深い思考ができるのか?

自分以外の相手との「対話」は、自分の思考力を鍛えるために非常に有効です。思考力の実践編として、対話力を身につけることをお勧めします。

対話は「会話」と似ていますが、その意味は違います。対話は英語で「dialogue」といい、「公式な話し合い」「言葉を通じてたがいの考えを理解し合うこと」を指しています。一方の会話は、英語では「conversation」で、友人同士などの「内輪の話」「日常生活におけるコミュニケーションとしての会話」を指しています。

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対話は、哲学でテーマを追求していく形式として、古代から活用されてきました。古代ギリシャの哲学者ソクラテス(紀元前469年頃~前399年)は、人々に対して質問を投げかけ対話することで思索を深めたといいます。

1960年代にアメリカの教育現場で生まれた「哲学対話」も、おたがいを否定せずテーマに沿った意見を自由に発言し合うというもので、思考力を育てられるとして、ここ10年ほど日本でも学校のアクティブ・ラーニングの授業に取り入れられつつあります。

では、なぜ対話で思考力を伸ばすことができるのでしょうか。それは、人はそれぞれの内面に論理を持っているからです。これを「内在的論理」と言います。その内在的論理を知ることができる方法こそが、対話だからです。

あらゆることを自分とまったく同じように捉えている人なんて、この世にはいません。人はひとりひとり、みんな考え方が違います。自分の経験に対しての感じ方、考え方は人それぞれ違いますし、その積み重ねで構成されていく内在的論理も、まったく違うものなのです。こうした「自分とは異なる他者」の内在的論理を理解することで、ときにひとりよがりになりがちな自分の思考に、幅と深みを持たせることができるはずです。

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