2022.02.24
# 量的緩和 # 日銀 # 家計

世界中で「インフレ」なのに、日本企業が「価格据え置き」にこだわる理由

本当に「お客様のため」なのか?
世界中でインフレが過熱している一方で、日本ではなかなか物価が上がらない。その理由の一つは、値上げを忌避したい企業側が「製品価格の据え置き」にこだわっているからだ。製造コストが上昇しても値上げしようとしない日本企業の「不思議な慣行」の原因を、新刊『物価とは何か』から一部編集のうえ説明していこう。
 

「価格据え置き慣行」はいつはじまったのか

日本は欧米よりも価格据え置きが多いという話をすると、多くの方が日本は昔からそうだったと言います。デフレで苦しんできた最近の日本しか知らない若い人たちがそういうのは理解できるのですが、高インフレを実体験しているはずのシニア世代の企業経営者からも同じことを聞きます。いわく、日本企業はお客様本位なのでコストの上昇を価格に転嫁するようなことはしない、と。

ですが、データをみる限りその認識は事実と合致しません。1970年代まで遡れば日本も高インフレだったことがあり、その時期は原油や人件費などのコスト上昇の価格への転嫁が、欧米と同じように行われていました。

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現在の日本では、前年からの価格の変化率が0%に近い、ゼロ近傍の消費者物価の品目(運動靴やケチャップ、さらにはカラオケルームの使用料など、人々が消費する代表的な対象)が全体の約5割を占めています。

ですが、1970年代の高インフレ期に遡ると、ゼロ近傍は特別な事情をもつ品目に限られていました。続く80年代には、全体のインフレ率が落ち着き、ゼロ近傍の品目の割合も多少増えましたが、それでも他国と比べて特別に多いというわけではありませんでした。

日本固有の変化が生じたのは1995年からです。ゼロ近傍の品目の割合はその年から急上昇を続け、99年には55%に達しています。そして、現在に至るまでその水準が維持されています。

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