具体的には、消費者を次の3つに類型化し、それぞれのタイプの割合を推計するということを行いました。第一のタイプの消費者は、小型化にまったく気づいていません。
第二のタイプは、小型化に気づいています。この消費者は、たとえば、シャンプーの世代交代があったとして、世代交代の前後で表面価格は変化なし、容量は10%減であれば価格が実質的に10%上昇したとみなします。その上で購入量(本数)を減らすのですが、その際に、本来であれば容量の10%減を考慮すべきです。

たとえば、購入する本数を5%減らすと、消費できるシャンプーの量は、それに1本当たりの容量の減少分を加味した、15%の減少になります。ところが、この消費者は、容量が10%減少していることを考慮せず、その結果、購入量(本数)が過小になります。この消費者は、シャンプーを1本使い切るまでの時間が短いことに気づき、そこではじめて購入量を減らしすぎたと後悔します。
最後に、第三のタイプはもっとも賢い消費者で、実質値上げを見抜くだけでなく、シャンプー1本の容量が減っていることも勘案しながら購入する本数を決めます。
それでは、消費者の3タイプは、どのような割合になるでしょうか。データをもとに推計すると、第一のタイプの割合は約1割、第二のタイプが約8割、第三のタイプが約1割となりました。第二のタイプと第三のタイプを合わせると全体の9割なので、ほとんどの消費者は実質値上げを見抜いていたということを意味しています。
米国人を対象とした類似の研究では、消費者は小型化に気づかないという結果が報告されており、日米で消費者の注意深さが大きく異なることがわかります。