2022.02.21
# 家計 # 企業

日本で横行している「ステルス値上げ」の知られざる実態

消費者だって、気づいている…
渡辺 努 プロフィール

海外から輸入する穀物や原料、エネルギーの価格が高騰したのもこの2008年でした。これらに大きく依存する企業、とくに食品メーカーでは、製造原価が上昇した一方で、それを製品価格に転嫁することができず、商品の小型化という選択をしたと考えられます。

その後、世代交代の数はいったん減少するのですが、2013年からふたたび増加しはじめ、2014年、2015年では高水準になります。ここでも増加の主因は、小型化をともなう世代交代です。

2013年はアベノミクスと日銀による異次元の金融緩和がはじめられた年です。金融緩和にともなって円は大幅に安くなり、輸入原材料に多くを依存する企業の原価を押し上げました。そうした中で、食品メーカーを中心に、ふたたび商品の小型化が選択されたのです。

2013年、就任当時の黒田東彦日銀総裁[Photo by gettyimages]

日銀の金融緩和の目的は物価を引き上げることだったので、緩和が円安を通じて輸入原材料を押し上げるというのは日銀の目論見どおりです。日銀はさらに、円安にともなう原価の上昇が製品価格に転嫁されることを期待していました。ですが、そこは読みどおりにいきませんでした。実際に起こったのは、値上げは値上げでも、表面価格一定でサイズを小さくするという異形の値上げだったのです。

 

9割の消費者が気づいている

SNSを見ると、小型化は消費者を騙すためのものであるかのようなニュアンスの投稿が目につきます。ですが、本当に企業は消費者を騙そうとしているのでしょうか。そして、その思惑どおりに消費者は騙されているのでしょうか。

私たちの手元には、さきほど紹介した約2万件の世代交代の事例があり、それぞれの事例で販売数量がどう変化したかもわかっています。このデータを分析すれば、消費者が騙されていたのか、あるいはそこに隠された意図に気づいていたかどうかを判定できるはずです。

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