2022.02.21
# 企業 # 家計

日本で横行している「ステルス値上げ」の知られざる実態

消費者だって、気づいている…
渡辺 努 プロフィール

その際に注意が必要なのは、商品の減量は実質値上げ以外の理由でも生じ得るということです。

たとえば、近年は、高齢化や家族人数の減少などを反映して、小さいサイズの商品へと消費者の需要がシフトしています。この需要シフトに企業が対応するかたちで小型化を進めた場合は、容量・重量が減少したとしても、それはむしろ消費者の満足度を高めるもので、実質値上げを意図するものではありません。

需要シフトが原因で小型の新商品が投入される場合は、前世代の商品の販売も継続されることが少なくありません。つまり、企業は大きいサイズと小さいサイズの両方を販売することで商品の多様化を図り、消費者の選択肢を広げていると言えます。

これに対して、実質値上げの場合は、前世代の商品を継続して販売する理由はどこにもありません。と言うよりも、前世代の大きなサイズの商品が同じ値段で店頭に並ぶのは都合が悪いので、前世代の商品は生産打ち切りとなります。そこで私たちの研究では、

(1)旧世代と同じブランド名・同じ商品名で、容量・重量を変化させた商品を新商品として投入する

(2)その際に旧世代の商品を存続させない

という条件にあてはまることを世代交代として定義しました。

この定義に基づき、世代交代の事例を約2万件抽出し、その結果を整理したのが図2です。

図2:商品小型化の件数(『物価とは何か』より)
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図2では世代交代の事例を、容量・重量が減ったもの、増えたもの、変わらなかったものに分類してあります。世代交代の件数は、2000年代前半は低い水準でしたが、2007年に増加しはじめ、2008年には大きく増加して2800件に達しました。2008年の増加の主因は、小型化をともなう世代交代です。

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