2022.02.21
# 家計 # 企業

日本で横行している「ステルス値上げ」の知られざる実態

消費者だって、気づいている…
渡辺 努 プロフィール

マーガリンから見えてきた実態

実例をみてみましょう。図1は、品目「マーガリン」に属する3つの商品(A、B、C)の価格と販売数量を示しています。これらの商品は同一企業により生産され、同一商品名と同一ブランド名で販売されました。

ところが、マーガリンAの重量は450グラム、マーガリンBは400グラム、マーガリンCは360グラムというように、重量が徐々に減っていっています。

図1:マーガリンの新陳代謝(『物価とは何か』より)
 

図1には、この三商品の店頭での販売価格と販売数量が示してあります。販売数量をみると、2007年9月にマーガリンBが発売された後、マーガリンAの販売数量が急激にゼロまで落ち込んだことがわかります。

これは、マーガリンBがマーガリンAの後継商品であることを意味しています。この世代交代にともなって重量が450グラムから400グラムへと削減されたわけです。世代交代にともなう販売数量の変化は、マーガリンB(400グラム)からマーガリンC(360グラム)への交代でも起こっています。

一方、販売価格をみると、このように重量の削減をともなう世代交代が進む中で、価格は全期間を通じてあまり変化しておらず、どちらかと言えばわずかながら上昇しています。この事例では、実質値上げをしても客離れはなく、成功しているようにみえます。

「ステルス値上げ」が増えたワケ

総務省統計局で消費者物価指数の作成に携わっている若手研究者と共同して、こうした事例がどのくらいあるのか数えてみました。

具体的には、約300のスーパーマーケットの店舗で扱われている約30万の商品(バーコードで定義された商品)の中から、重さや容量のわかるものを抽出します。商品の名称と製造企業名、それにその商品の参入時点と退出時点の情報を用いて、マーガリンの例のような、世代交代の事例を収集します。

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