プロ野球史上「絶対に打てない魔球」を投げた「怪物投手」は誰か…?意外すぎるその名前
前編記事『プロ野球「消えた天才」…マジでヤバい球を投げた「怪物投手」をご存知ですか…?』に引き続き、日本のプロ野球史上で最高の「直球王」を独自に分析する。
ノビる球の「原理」
前編記事で、70年代後半に活躍した阪急の山口高志の名を挙げた得津氏が「双璧」と表現するのが、元ロッテの村田氏だ。
「村田の直球は、バットに当たった瞬間押し込まれるような威力があった。大砲のような感じです。ノビる球を投げる投手は流れるようなフォームで投げる人が多い一方で、村田のマサカリは、カクカクした動きでしょう。でも、そのぶんボールに体重が乗っている。山口が『快速球』の持ち主なら、村田こそ『剛速球』の持ち主と言えます」
小松辰雄(中日)もまた、剛速球タイプの投手だった。
「捕手として僕が受けた速い投手といえば、鈴木孝政(中日)と小松ですが、鈴木は明らかに『ノビ』タイプだった。対する小松は、ミットで受けたときに間違いなく鈴木より重かった。ズドンと響くような感じです」(元中日の木俣達彦氏)

ここで一つの疑問が湧いてくる。「ノビる球」あるいは「重い球」という表現は、ストレートを評するうえでよく使われる言葉だ。だが、物理法則からすれば、重力の影響を受けるボールが途中で浮き上がったり、投げたあとでその重さが変わるということは起こり得ない。
実際のところ、彼らのストレートには何が起きているのか。
スポーツデータ解析に精通する「NEXTBASE」のエグゼクティブフェロー・神事努氏氏は、「打者が『浮き上がる』と感じるストレートには、強烈なバックスピンがかかっている」と語る。