富澤:菲菲さんの独特の日本語のアクセントには、そこはかとない色気が漂うんだよね。
伊藤:菲菲さんの歌声には、洋楽的なパワーと邦楽の叙情を同時に表現できる不思議な魅力がある。唯一無二の存在だと思います。
そういえば、レコーディングに立ち会った時、菲菲さんが「ねえ、ここってどういう意味なの?」って僕に尋ねたんですけど、覚えていますか?
菲菲:そんなこともありましたねぇ。
伊藤:僕は「ここは、これからどんな恋をしても、そのたびにあなたのことをきっと思い出すっていう意味なんですよ」と説明したんですけど、菲菲さんは「う〜ん、やっぱり分からない」って首をかしげていました。
菲菲:あの頃は、この歌詞の意味の深さを完全には理解できていなかったと思います。日本語って難しいし、私自身は過去のことは一切振り返らないから(笑)。
でも、ずっと歌っているうちに、「これほど強烈に別れる相手に愛を伝える言葉は他にないな」と気がついた。たまらなく好きだからこそ、相手を思って自分から身を引き、離れていく……。とっても哀しい歌。
富澤:この歌詞からは男女がどれくらいの年齢なのかはわからないんだけど、薫ちゃんが言う通り、年上のお姉さんが未熟な男を諭しているような情景。そこも、菲菲さんの醸し出す大人の雰囲気にピタッとハマっていました。