2022.02.19
# 週刊現代

名曲『ラヴ・イズ・オーヴァー』が、当時のリスナーに”刺さりまくった”「なるほどの理由」

今も多くのアーティストがカバーする、欧陽菲菲が歌う名曲『ラヴ・イズ・オーヴァー』。じつはヒットの理由は、口コミだったことを前編の『名曲『ラヴ・イズ・オーヴァー』…知る人ぞ知る「B面の曲」が大ヒットに至るまで』で明かした。
引き続き、当時の若者に刺さった理由を当事者たちが明かす。

あえての「あんた」

菲菲:最初に歌ったときから気になっていたんですが、Aメロの歌詞では男のことを「あなた」と呼んでいるのに、サビに入った途端「あんた」に変わる。どういう意図があったんでしょう。

伊藤:そこは、僕がもっともこだわったポイントのひとつです。最初は冷静に距離を保ちながら、「私とあなたは別れなきゃいけないんだ」ということを伝えようとする。でも、女性だって、本当なら別れたくない。まだ愛している。

未練を断ち切るために切々と語り続けるうちに、いつしか気持ちが堰を切って溢れ出し、つい、以前と同じように呼んでしまう。作詞のセオリーとしては、呼称を途中で変えるのは不自然なんだけど、気持ちの昂りを表現するために、あえてそうしたんです。

『ラブ・イズ・オーバー』のレコードジャケット
 

富澤:4分半ほどの曲の中でしっかりと時が流れているんだよね。

伊藤:昔は音楽番組でもラジオでも、一曲しっかり流してくれたから、気持ちの盛り上がりや楽器が徐々に増えていく臨場感を表現しやすかった。いまは最初の30秒くらいで聞く人の心を掴まないともう聞いてもらえないので大変だと思います。時代も味方した。

富澤:この曲の構成は、二段構えになってます。まず最初のAメロは、繊細で美しいピアノの伴奏と最低限のドラムのリズムで女性の語りをじっくり聞かせる。ところが、サビの直前になると伴奏がゴージャスになり、コーラスまで入って一気に畳み掛ける。歌詞で男性への気持ちが爆発するのと同時に、メロディのスケールが一気に大きくなるんです。メリハリが効いている。

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