2022.02.21
# 医療

「手遅れ」は絶対に許さない…死病を撲滅せよ「すい臓がんハンター」の15年戦争

前編記事『日本の医療はめちゃめちゃハイレベル…「超高精度ロボット手術」のスゴイ進化』では、最先端のロボット技術により、その操作を見事にこなす名医たちの存在によって、遠隔地でも日本の手術が飛躍的に上がる可能性についてお伝えした。後編では、すい臓がんと戦い続ける医師たちの奮闘をお伝えする。

尾道から始まった

「沈黙の臓器」と呼ばれるすい臓のがんは早期発見が難しく、見つかったときには手の施しようがないケースが多い。

ステージ4の5年生存率はわずか1.6%。数あるがんのなかでも最もやっかいだ。そんな最恐最悪のステルスキラーに立ち向かうハンターたちの存在を知っているだろうか。

広島県尾道市。古くから映画や文学の舞台となってきたこの情趣溢れる海街で、すい臓がんと戦い続ける医師がいる。JA尾道総合病院副院長で内視鏡センター長の花田敬士氏だ。

「すい臓がんの最後は本当に辛いものになります。痛みはもちろんのこと、おなかが張り、食べることもできない。人間に想定されるすべての苦しみがある。だからこそ、早期発見で救いたい。また、私のなかに『予後が一番悪いがんを自分の手でやっつけたい』という思いがあったんです」

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足音を立てずに近寄る病魔をどうすれば仕留めることができるのか。「死病」に立ち向かうために、花田氏が立ち上げたプロジェクトが「尾道方式」だ。

'07年に始まったこの取り組みは診療所の段階で、すい臓がんの兆候が「わずか」でも見られる患者を精密検査を目的に中核病院に回すというシステムである。

患者にとって最初の窓口である診療所の協力が肝になるが、現実は簡単ではなかった。すい臓がんの検査にはリスクが伴うからだ。特に花田氏が当時行っていたERCPという内視鏡を使ってすい管の状態を見る検査は合併症を起こすリスクがあり、重症化することもあった。

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