他人に自分の頭を乗っ取られる人が増加!? 池上彰氏の「考える」コツ

なぜ、いま思考力が必要なのか(1)
デマや陰謀論になんて自分はだまされない、という自信が揺らいだのが、このコロナの日々。「自分の頭で考える」ことができないと、「他人に考えてもらう」ことになってしまいます。
「思考力」は、よりよい判断のために欠かせない力です。結婚や仕事、家族や職場での悩みなど、人生で出合うものごとのすべてが、正解はひとつではありません。
思考力をどうつければいいか、『社会に出るあなたに伝えたい なぜ、いま思考力が必要なのか?で池上彰氏が初めてアドバイスします。

ネット検索が自分で考えるチャンスを奪う

日本の教育では、「正解のある問い」の「答え」を頭にたたき込むという手法が主流です。

その弊害として、素直すぎる人が増えている気がします。ネット検索をすると「答え」が出てきますが、検索結果のいちばん上に出てきたものをそのまま信じて、それ以上調べたり考えたりしない人が急増しているのです。何か知りたいことがあると、すぐにスマホを出して検索して、そのまま納得してしまうというのは、老若男女を問いません。

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検索結果の「答え」は、IT会社が作った検索エンジンのアルゴリズムにもとづいたものであって、「正解」とは限りません。「これは本当かな」と基本的には疑ってかかるべきです。「正解がある」という思い込みがあると、素直に信じてしまったり、安易に検索してわかった気になってしまったりします。

また人は不思議なもので、図書館に行ったり百科事典を読んだりして、苦労をして調べたことは忘れませんが、ネット検索で簡単に答えが出てわかった気になると、身につかないものです。「あのとき調べたけど、なんだったっけ?」と、なかなか思い出せない。勉強をしていても、自分で一から四苦八苦考えて解いたときと、初めに解き方や答えを見てから解いたときとでは、身につき方が全然違います。無意識のうちに、思考力を鍛えているかどうかの違いでしょう。

キーワードを入れたら瞬時に答えが出て思考力が成長するきっかけがないこと、「すぐに答えが出てくるのだから、あらゆることに正解はあるのだ」と思い込んでしまうことは、ネット検索の大きな弊害です。

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