米ロ首脳電話会談はまたも平行線…気になるウクライナ侵攻の「確率」と「Xデー」

戦争の危機が、刻一刻と迫っている
20世紀末に「東西冷戦」が終結して以降、最大の危機――ウクライナ戦争の危機が、刻一刻と迫っている。ロシアはウクライナに侵攻するのか? ロシアの「盟友」中国はどう見ているのか? 本誌コラムニストの近藤大介と、長年ロシア・旧ソ連諸国情勢をフォローしている河東哲夫元駐ウズベキスタン大使が、2時間にわたって緊急オンライン対談を行ったーー。

どちらも本気で戦争をする気はない

近藤: 世界が注視した先週末(日本時間2月12日深夜)のジョー・バイデン大統領と、ウラジーミル・プーチン大統領の米ロ首脳電話会談は、またもや「平行線」に終わりました。

直前の2月11日に、マーク・ミリー統合参謀本部議長とワレリー・ゲラシモフ参謀総長が電話会談。12日には、ロイド・オースティン国防長官とセルゲイ・ショイグ国防相が電話会談し、米ロの軍事当局の高官同士が話し合いを積み上げていたので、成果を期待していたのですが。

河東: 「米ロ首脳会談が約1時間行われた」という速報を見た瞬間、元外交官の私は、「これはおしるしだけの会談だったな」と直感しました。なぜなら、会談時間が1時間ということは、単純に考えて双方が30分ずつ話した。しかし通訳が入るので、バイデン大統領とプーチン大統領はそれぞれ、15分ずつしか話していないことになる。たった15分では、立ち入ったことは何も話せません。

近藤: 一応、プーチン大統領からアメリカ側に、近く見解を述べるということになったと、ホワイトハウスは発表していますが……。

Gettyimages

河東: 昨年秋以降の、ウクライナをめぐるロシア、米国、欧州諸国のやりとりを見ていると、どうも皆、口先ばかりで、ロシアは本気でウクライナに攻め込もうとまでは思っていないのではと感じています。

EU諸国も、米国も、ロシアが実質的に制圧しているウクライナの東部は自治権の強化でロシアと手を打たせたい、ウクライナ政府がそれはいやだというなら、自分で戦え、兵器くらいは出してやる、でも頼むから自分たちをロシアとの戦争に引きずり込むことはしないでくれよ、と思っているー-こういう感じがするのです。

近藤: なるほど。どの国も「自分ファースト」ということですね。

 

河東: そうです。2014年3月にロシアがクリミア半島を併合した後、ウクライナ、ロシア、フランス、ドイツの4ヵ国で「ミンスク合意」に署名しました。これは、ウクライナが憲法を改正して、東部の親ロ派勢力が強いルガンスク州とドネツク州の自治権を拡大する、その上で総選挙を行い、外国軍勢力が撤退するという取り決めです。

この合意は、14年8月にウクライナ政府軍がロシア軍に壊滅的打撃を被った直後に結ばれた、ウクライナに不利な内容なので、ウクライナ政府は世論の圧力も受けて、この「ミンスク合意」を変えてもらうために努力してきました。しかし欧州諸国は、そこまでしてウクライナを助けてやろうとは思っていない。もう一度ロシアと戦争しないと「ミンスク合意」は変えられないだろうからです。

米国は、欧州諸国よりはウクライナを助けてきましたが、それでも最近までは殺傷兵器を供与するのも控えていました。前任のドナルド・トランプ大統領は、副大統領時代のバイデンとポロシェンコ前大統領の間の不正取引を示す証拠を渡さないため、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領を遠ざけてもいました。

昨年1月に就任したバイデン大統領も、ゼレンスキー大統領との会談を避けていました。ウクライナへの関与に引きずり込まれるのを嫌ったのでしょう。8月になってようやく首脳会談に応じたけれども、ウクライナ側が望んでいた軍事支援に関しては、ほぼゼロ回答だった。そして「ミンスク合意」を実行するよう、繰り返しました。

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