果敢に挑戦し続けた、「4回転アクセル」

北京五輪のフィギュアスケート・男子シングルが終わった。1位ネイサン・チェン選手、2位鍵山優真選手、3位宇野昌磨選手。ショートプラグラムで8位となった羽生結弦選手は、底力を見せ、4位にまで追い上げを見せた。

金のネイサン・チェン選手、銀は鍵山優真選手、銅は宇野昌磨選手に。白熱したフィギュア・男子シングル。photo/Getty mages

羽生選手は試合後、自分の演技に関してこう語った。
「勝つために失敗しないことも大切だけど、この『天と地』とという曲は、前半ふたつの失敗も含めて完成したと思う」と。

フリープログラムで史上初の4回転アクセル(4回転半ジャンプともいう)に挑戦し続ける羽生選手の姿には、SNSでも「成績だけでない何かをもらえた気がした」「挑戦に対する姿勢に感動した」というコメントが溢れている。

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「今大会ショートプログラムの2日後、羽生選手はフリープログラムで史上初の4回転アクセルに挑戦。公式練習や試合で今までも挑戦してきましたが、その中でももっとも成功に近い4回転アクセルを跳びました。試合後、史上初の4回転アクセルとして認定されました。練習で成功率が高くないジャンプを試合にいれることは、通常コーチ陣から止められますし、コメンテーターの多くも高得点を目指すなら、誰よりも美しく跳べる4回転ループに変更した方がいいのでは、という声も多くあがっていました。

しかし、彼は2大会の金メダリスト。成績によって証明することは何もない。またショートの後、失うものは何もない。『自分のやりたいようにやっていい』と自分に許可を与え、コーチなしでオリンピックに臨みました。そんなふうに『自分の運命は自分で決める』という覚悟を感じさせる彼の生き様に、私も勇気をもらいました

というのは、米国小児精神科医でハーバード大学医学部アシスタントプロフェッサー、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長の内田舞医師だ。

フリーの演技を終えた後の羽生結弦選手。photo/Getty Images

内田医師自身も高校時代までフィギュアスケートをやっていて、今も無類のフィギュアスケートファン。長洲未来選手やグレーシー・ゴールド選手とメンタルヘルスの問題について対談を行いYouTubeに配信するなど、選手の心の健康にも深い関心を寄せている。北京五輪での羽生選手のメンタルの強さと選手としての生きざまについて、フリープログラム終了直後に、精神科医としての視点も交えながら内田医師が寄稿してくれた。

以下、内田医師の寄稿です。