タガが外れたとはこのこと
2月8日の夜、就寝前にスマホでぼんやりとニュースを見ていたら、グリーンピース・インターナショナルの事務局長であるジェニファー・モーガン氏(55歳・アメリカ人)が、ドイツの外務省に来るというニュースが飛び込んできたので、すっかり目が覚めてしまった。
緑の党のベアボック外相が招聘したそうだが、タガが外れたとはこのことだ。ドイツは大丈夫だろうか?

モーガン氏は、3月から独外務省の国際環境政策特使となり、その後、事務次官に就任するという。バイデン政権が、ジョン・ケリー氏を、気候変動問題を担当する大統領特使にしたので、ベアボック外相はそれを見習ったのかもしれない。
事務次官になるにはドイツ人でなければならないため、モーガン氏は現在ドイツ国籍を取得中だ。ちなみに、モーガン氏がお手本としているのがケリー氏だという。
12月、ドイツには、社民党、緑の党、自民党と、3党連立の新政権が誕生した。以来、肝心の社民党を差し置いて、緑の党がやけに目立っている。中でも、毎日のようにメディアが追いかけ回しているのがベアボック外相。若くて未経験な彼女が、図らずも、ウクライナ危機やら、ロシアからの海底ガスパイプライン「ノルトストリーム2」問題に取り組んでいる。国民としては、いつ転ぶかハラハラ。そのせいでますます注目度が上がる。
そのベアボック氏が全霊を傾けて取り組んでいるのが気候温暖化対策。実は、気候省というのを新設して大臣になることを狙っていたが、それが叶わず現在は外相。それでも温暖化対策を諦めきれず、これからは、気候政策は環境省ではなく、外務省の管轄だと横車を押し通した。その挙句、引っ張ってきたのがグリーンピースの女帝、モーガン氏。いくら何でもこれはまずい気がする。
昨年9月に刊行された『SDGsの不都合な真実 「脱炭素」が世界を救うの大嘘』は、12人の著者がそれぞれの分野からSDGsを論じているオムニバス形式の本で、Amazonのエコ部門ではいまだに1位を保っている。その中で、著者の端くれの私が扱ったテーマが、偶然にもNGOの話だった。
「巨悪に立ち向かう弱小な組織といったイメージの環境NGOが、実は世界的ネットワークを持ち、政治の中枢に浸透し、強大な権力と潤沢な資金で政治を動かしている実態。多くの公金がNGOに注ぎ込まれている現状。そして、批判精神を捨て、政府とNGOを力強く後押しするメディア」(同著より)。