2022.02.27

空中に浮かぶ映像がタッチパネルになる! 現実を拡張する世界初のプロダクト

SFの光景が現実になる夢の新技術

何もなかった空中に突如立体的な映像やパソコンのキーボードが現れてそれを操作する——、SF映画や近未来アニメなんかでよく見る光景ですよね。でもそれはあくまで、空想の中の話……いえ、そんなことはありません。それに近いことが現実になりつつあります。製品名は「パリティミラー®」。

空中に浮かんだ映像を触ると、スマホが操作できたり、トイレのウォシュレット®を操作することができたりするのだとか。

そんな夢のような製品の開発者である、株式会社パリティ・イノベーションズ前川代表に話を聞きました。

映像を空中に映し出す世界初のプロダクト

——まずは、「パリティミラー®」で実現できることを教えてください。

ひとことでいうと、実空間に空中映像を映し出すことができます。特徴としては、メガネ型ウェアラブル端末など特殊な道具を装着する必要がないことですね。現在、ARやMRが流行していますが、これらはスマートフォンやヘッドマウントディスプレイのようなデバイスが不可欠です。一方「パリティミラー®」は、観測者の方はデバイス無しで直接空中映像を視認できるんです。

 

——どんなテクノロジーを使っているのですか?

「パリティミラー®」は、レンズや凹面鏡のような結像光学素子の一種で、樹脂製の1枚の平らな板です。樹脂製の板の表面には、1ミリ以下の非常に微細なブロックの側壁に形成された鏡が何十万個と並んでいます。「パリティミラー®」の下にモノを置くことで、そのブロックを通過する際に光線を2度反射させて、面対称位置の空中に実像を結像させるという仕組みです。これは鏡映像なので、像を空中に浮かび上がらせる鏡とも言えます。この構造は最新のナノテクノロジーを駆使することで実現することができました。

——映像を鏡で2度反射させると、なぜ空中に映像が見えるのですか?

実像という光の性質を活用して、空中に映像を見せています。光っている点「光点」があるとすると、「光点」からは四方八方に光線が広がってます。人間の目はこの広がる光線を捉えて光線の出どころを逆に辿り光点がある=モノがあると認識しています。この光点が集まっている状態を空中に再現する、すなわち実像を結像するというのが「パリティミラー®」です。

先程、樹脂製の板の上に微細な鏡が無数に並んでいるとお伝えしましたが、この垂直2面が直交ミラー(2面コーナーリフレクター)を構成していて、直交する2面の鏡にあたった光線を2回反射させます。こうすると、パリティミラー面を通過した光線は全て面対称に折れ曲がっていくために、ちょうど面対称位置に光線が集まり、実像を結像することになります。

一般的な鏡は、表面で光線が反射するので、鏡の中にできる像には実際の光線は通過してません。これを虚像と言います。「パリティミラー®」の場合には、光線が面を通過して結像するために、像ができる場所には実際に光線が通過しており、スクリーンを置くと像が映ります。これを実像と言います。そのため、パリティミラー背面に置いたスマホのようなものから拡散された光線は、反対側に再び集光されて結像し、あたかも反対側にスマホが置いてあるかのような光線が再現されることで、映像を空中に出現させています。

パリティミラー®のしくみ

——どのようなものでも空中に映し出せるんですか?

そうですね、基本的にはただの鏡ですから、液晶ディスプレイ、スマートフォン、写真、実物など、何でも背面に置いたものが空中映像化できます。さらにセンサーと組み合わせることで、空中映像とのインタラクションも可能となります。

——触(さわ)れるということですか?

はい、ただあくまで映像なので触感はありませんが。赤外線やカメラ感知などのセンサーを使えば、たとえば空中にある指をセンシングしてあげれば、空中に映し出されたスイッチを押すことができます。少し工夫すれば地球儀をくるくる回すように、映し出された映像を立体的に回転させることも可能ですよ。

——空中映像を操作できるなんてまさにSF映画ですね。

「パリティミラー®」の最大の特徴ですね。ARやMRなどはスマホやHMDというデバイスの画面の上に表示される現実世界仮想物体を重ねて表示することで、現実が拡張されているかのように見えていますが、実際の現実はなにも変わっていません。しかし、我々が開発した空中映像を映し出す手法は、視覚的には本当に存在して触ることもできます。現実をコンピュータ等によって拡張する技術を「拡張現実感」と呼びますが、「パリティミラー®」は現実そのものを拡張できる「現実拡張」技術となります。

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