提供:環境省

ニュースで耳にするカーボンニュートラルや脱炭素社会。温暖化対策の有効な手段とされる再生可能エネルギーにも注目が集まりますが、なんとなく知っているものの、「環境に良いことってなんか大変そう」「生活の負担や我慢が増えそう」なんて声も耳にします。

そこでFRaUは環境省とタッグを組み、地球温暖化とその有効な手段である「再エネ」についてみんなで考えるYouTubeライブを開催。司会にZ世代のモデル長谷川ミラさん、ゲストに写真家 石川直樹さん、FRaU webの連載でお馴染みのタレントのバービーさん、国立環境研究所の江守正多さんをお迎えしてディスカッションを行いました。

結果はなんと満足度100%! ライブ配信に参加できなかった方も、こちらの記事で内容をぜひチェックしてこの機会に「再エネ」について学んでみましょう。

松田海さんによるグラフィックレコーディング

この日、グラフィックレコーディングを担当したのは松田海(まつだ・まりん)さん。ディスカッションの様子をイラストと文字を用いてリアルタイムで可視化。要点をしっかりおさえ、分かりやすくまとめてくれました!

30年前ビルの高さにあった流氷が消えている現実

――イベントの第一部は、「地球の今を知る」をテーマに写真家の石川直樹さんのトークからスタート。石川さんは17歳でのインド・ネパールひとり旅を皮切りに、アラスカ最高峰のデナリやヒマラヤの8,000m峰へ登攀、北極圏など世界各地を旅しながらフィールドワークを続け写真を撮っています。その旅の中で目の当たりにした気候変動の様子を、現地の写真も交えながら語ってくれました。

石川直樹さんが撮影したアラスカ シシュマレフの写真を映したスクリーン

石川 アラスカのシシュマレフという小さな村では、古くから男性は狩猟に出かけ、女性が白熊やアザラシの肉を解体しながら子どもをあやすことが日常でした。しかし、温暖化による影響で海水が凍らずに波が押し寄せ永久凍土が溶け、この写真を撮った10数年前にはすでに家が海に沈みそうになっていました。今は村ごと安全な場所へ移住させようという段階だそうです。

また、犬ぞりを使った狩猟が行われているグリーンランドの港町イルリサットは、人よりも犬の数の方が多いと言われるほど。しかし、温暖化の影響で海流が変わり、魚の群れが減少したことで犬の食事の原資が減ってしまったとか。多くの犬を世話することが困難になった地元の人は、犬ぞりのかわりにスノーモービルを使い始めています。自然環境の変化は、その土地の文化までも変えてしまうのです。

日本では毎年のように北海道の知床半島に通っていますが、温暖化によって流氷の数が減ってきたといわれています。30年前に撮った写真を見返すと、まるでビルのように高い氷が押し寄せていましたが、今ではそんなサイズの氷はもちろん、流氷自体の量もかなり少なくなっています。

グラフィックレコーディング :松田海さん

「北海道の豪雪地帯の雪が、平均的に減ってきています」(バービー)

――石川さんの写真は、まるで自分がその現場に立っているかのようなインパクトがあり、途端にその世界に引き込まれます。長谷川ミラさんが聞きました。

ミラ 東京のような都会に住んでいると、流氷の変化などの温暖化現象は自分とは無関係に感じがちですが、そんなことはない。繋がっているんですよね?

石川 温暖化による影響をいちばん最初に受けるのは、北極圏の村や太平洋に浮かぶ小さな島です。確かに都会では実感しづらいですが、遠く離れた場所で影響をもろに受けている人たちがいることに思いを馳せる必要があるのでは、と思います。バービーさんは地元が北海道でしたよね?

写真提供:バービーさん

バービー はい、今日のこの画面背景が出身地の北海道栗山町です。ここは雪が深い地域なんですが、近年の予測不可能な気象により、平均的に積雪量が減ってきています。

私は地元の町おこしに関わっていて、空き家が多く廃墟になっていく問題を解消するため、4年前に役場へ相談に行って、古民家をDIYしたり地元の農家さんと関わっています。そこで地元の人とよく話すんですが、昔に比べて雪が減って札幌雪まつりが雪不足による影響を受けたり、野菜や魚など獲れる作物も変わってきたり。北海道の人たちは、温暖化による環境の変化を敏感に感じていますね。

グラフィックレコーディング:松田海さん

日本で最もわかりやすい江守先生による温暖化の解説

――石川さんやバービーさんが実感している「気候変動」。でもその理由を明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか? そこで、国立環境研究所の江守正多さんに、地球温暖化について解説してもらいます。

江守 地球は太陽からエネルギーを受け、その熱を宇宙に向かって赤外線という形で放出しています。しかし、地球の大気中には温室効果ガスと呼ばれる種類の気体が混ざっているので、地球から出ていこうとする赤外線の一部が地球に戻ってきます。こうして地球の気温はあたたかく保たれているんです。

地球に温室効果ガスがない場合は、なんと地球はマイナス19度になるそう。それが温室効果ガスによって14度前後に保たれている。江守先生資料(国立環境研究所)

――では、気候変動が叫ばれる現在、地球では何が起きているのでしょうか? 

江守 温室効果ガスが増加することで、より多くの赤外線が吸収され戻ってくる。それが今、地球で起きていることです。結果として、地球の温度が上昇。これが地球温暖化です。

――では、なぜ温室効果ガスは増えているのでしょうか? 

江守 温室効果ガスにはいろいろな種類がありますが、中でも二酸化炭素(CO2)の排出量が増え続けています。これは、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料を燃やすことが影響です。1960年から2020年まで、世界のCO2排出量は右肩上がりに増加しています(下図)。

江守先生資料「世界のCO2排出量の推移」Gloval Carbon Project 2021より(国立環境研究所)

 江守 2020年はコロナ禍でロックダウンなど人間の活動が制限されたことで、排出量が少し減少しましたが、あれだけの行動制限でもほんのわずかです。2021年はまた上がるだろうと言われています。人間活動により温暖化が進んでいることは科学的に立証されており2021年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書でも疑う余地がないと報告されています。

グラフィックレコーディング:松田海さん

――さすが、日本一気候変動の説明がわかりやすいと言われている江森先生。一同、頷きながら聞いています。そこでバービーさんから鋭い質問が入りました。

バービー 人間活動によるCO2排出量が産業革命以前になれば、地球は元通りになるのでしょうか? それとも上昇スピードを遅らせるだけですか?

――「世界のCO2排出量を実質ゼロまで減らし、温度上昇を止めることが目標です」と江守先生。産業革命前から1.5度上がっている気温を、これ以上は上昇しないよう食い止めることが目標だそうです。

バービーさんはさらに、「では、今は目標に対してどれぐらいなのか?」と切り込みます。

江守「今は排出量が増え続けてやっとピークかなというぐらい。まだ減っていないんです。それをこれから減らし始めて、あと30年でゼロまで持っていこうとしているんです」

――増え続けているのを止めて、30年でゼロにする……。バービーさん、思わず「わー、すごいことしてるんだ!」と、声が出ます。

日本はすでに、世界トップクラスの温暖化被害国だった!

――さらに江守先生から、温暖化の影響はアラスカなどだけでなく、日本も他人事ではないとのお話が続きます。

江守 温暖化によって大気中の水蒸気が増えると、記録的な大雨に繋がり、結果として水害が増えます。日本では2018年の西日本豪雨の岡山県などの大水害や、台風21号は関西空港の浸水、2019年の台風15号は千葉県の大停電、19号も東日本各地で浸水被害など記憶に新しいでしょう。特に2019年の日本の水害の被害額は、世界最大でした。もはや日本は温暖化による被害がトップクラスに出ている国なんですよ。

江守先生資料「日本の水害被害額」国土交通省まとめより(国立環境研究所)

――さらに江守先生が続けます。

江守 こうした温暖化の被害は、原因に責任がない発展途上国や将来世代の人たちが深刻な影響を受けるため、人権侵害だとも言われています。そこで2015年のパリ協定では、温暖化を止めるための長期目標として、世界的な気温上昇を産業革命以前に比べて1.5度に抑える努力を追求することが採択されました。これが今の世界の目標です。

グラフィックレコーディング:松田海さん

――そこで、ミラさんから気がかりの声が上がりました。

ミラ 先程、2020年のコロナ禍でもCO2排出量は少ししか減ってないと聞きましたが、私個人の感覚としては移動も減って自炊も増えて、とてつもなく究極な生活をした気分だったんです。あそこまで生活を変えても、減少幅はわずかなんですか?

江守 そうなんです。だからある意味、経済活動を止めることで温暖化を阻止しようとするのはうまくいかない。2020年というのは、そのことがわかった年かもしれません。

――さらに、視聴者からの質問も届きました。

『温暖化で暑いからとエアコンを使うと、さらに気温が上昇しますよね? どうしたらいいですか?』

「熱中症になっちゃうのでエアコンは使ってください」と江守先生。

でも、だとしたら一体、地球温暖化はどうしたら防げるのでしょうか? 2020年のロックダウンのように人間の活動や経済を止めるのでもなく、だからといって暑いのを我慢するのでもない方法。

続く第二部では、その方法について具体的に考えていきます。

グラフィックレコーディング:松田海さん