クーデターから1年…「ミャンマーの混沌」はなぜ何も変わらないのか

カギを握るのはASEANの調停と介入
大塚 智彦 プロフィール

問題解決に最も影響力を行使できるのは

このように、実質的には内戦状態に陥っているミャンマーに対して、1日のクーデター1年に際し、国連や欧米、国際人権団体などは一斉に「軍政による無抵抗・非武装の市民への暴力行為の停止、スー・チーさんらの即時釈放、全ての関係者による対話開始で和平への道筋模索」を呼びかけた。

日本政府も林芳正外務相や松野博一官房長官が「暴力の自制と平和的解決」や「事態改善がみられないことへの遺憾」などを表明してミャンマー軍政に対して厳しい姿勢を示した。

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クーデター発生直後から「民主派と軍政」の双方にパイプがあるとしてミャンマー問題解決への影響力行使が期待された日本だが、軍政との関係だけが強調され、問題解決にはほとんど無力であることが次第に明らかになり、ミン・アウン・フライン国軍司令官など軍政幹部との会談ばかりに終始する日本の姿勢に反軍政の市民や民主政権関係者からは失望と批判が寄せられる事態となっている。

こうした中、クーデター直後からミャンマー問題に強い関心を示して調停・仲介に乗り出している東南アジア諸国連合(ASEAN)の今後の動きが注目されている。

 

2021年4月にインドネシア・ジャカルタで開催されたASEAN臨時首脳会議に出席したミン・アウン・フライン国軍司令官などにより全会で一致した「5項目合意」が現在の問題解決の基本線となっている。

カンボジアのフン・セン首相はASEANの議長国首脳の立場でミン・アウン・フライン国軍司令官と会談した際、「5項目合意」に含まれる「ASEAN特使の受け入れ」に対して受け入れを表明したが、その他の「暴力停止」や「スー・チーさんを含めた全ての関係者との対話」などでは一切合意に至らなかった。

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