クーデターから1年…「ミャンマーの混沌」はなぜ何も変わらないのか

カギを握るのはASEANの調停と介入
大塚 智彦 プロフィール

軍への攻撃が激化、犠牲者も増加中

また中部サガイン地方域では、1日午前1時頃、パンワル村に軍が侵入して民家約800戸に放火したという。同地域では前日の1月31日午後8時ごろにウエトン村でも軍兵士による民家放火があり、軍による弾圧が強化されているという。いずれの村でも軍による放火前に住民は避難しており、人的被害の報告はないという。

反軍政の独立系メディア「ミャンマー・ナウ」などの報道によると、旧首都ヤンゴンとその周辺地域では1日、地元PDFなどがサンチャン、インセイン、ダラ、フライン・タリヤル、フレグウなど11の町にある軍のポストや軍幹部自宅、兵士拠点、地元政府事務所、軍政への情報提供者「スパイ」の商店などに対する遠隔操作爆発物での攻撃を24件実施したと報じた。

1日に合わせたこの24件の攻撃は、クーデター発生後に民主勢力が結成した「国民民主連盟(NLD)」が主導したもので、傘下にある武装市民組織であるPDF各部隊が綿密な計画を基に実行した作戦であるとしている。

フライン・タイヤルでは1日午前5時ごろ、ヤンゴン・パテイン高速道路にある陸軍軽歩兵第532大隊の警備基地に対して爆弾攻撃を敢行したほか、ダラでは同日午前5時に空軍中佐の住居に手りゅう弾攻撃を実施。フレグウでは軍政系の電気会社、交通管理事務所や地区管理事務所、さらに軍に情報提供をした男性が所有する宝くじ店などが爆弾攻撃の標的となったという。

軍政は武装市民組織などによるこれまでの攻撃で、軍政に任命、指名された軍政当局者が少なくとも367人殺害され、336人以上が負傷したという。

これは1月31日に首都ネピドーで開かれた国防安全理事会の会議でミン・アウン・フライン国軍司令官が報告したもので、2021年のクーデター発生以降2022年1月20日までに9437件に及ぶ武装市民らによる攻撃を受け、その結果としての犠牲者だとしている。

 

これに対し、反軍政側の犠牲も増加しており、タイ・バンコクに拠点を置くミャンマーの人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」によると、2月2日時点で治安当局によって殺害された市民は1510人、逮捕拘留された市民は11937人にのぼっているという。

この逮捕拘留者には民主政権の指導者だったアウン・サン・スー・チーさんやウィン・ミン大統領の他に国会議員を含む686人の与党「国民民主連盟(NLD)」関係者も含まれている。NLD関係者の少なくとも14人は、軍政による拘留中に死亡している。

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