母親を火葬することへの葛藤と後悔…火葬場職員が思わず涙した「命にまつわる」物語
これまでに1万人のご遺体を見送った下駄華緒さんが火葬場職員時代の体験を明かし、注目を集めているYouTubeチャンネル「火葬場奇談」。その壮絶な体験は「最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常」(原案:下駄華緒/漫画:蓮古田二郎)として漫画化も果たしている。
記事前編では、下駄さんの働く職場で人一倍“焼き”にこだわる、職人気質の先輩のエピソードを紹介した。彼には自らの手で母親を火葬したというあまりにも切ない過去があった――。
忘れられない失敗
火葬場の仕事には大きく分けて“焼き”と“お骨上げ”という2つのパートがあり、職員が交替で分担する。
だが、下駄さんの職場で働いていた浦田さん(仮名)という先輩は、彼は常に焼きを担当していた。焼きへのこだわりは相当なものだったそうだ。

ある日、下駄さんは別の先輩から浦田さんが焼きにこだわるようになったきっかけを聞く。
「彼はね、自分で自分の母親を焼いたんだよ」
浦田さんには、自ら母親の火葬を担当し、その火葬に失敗してしまった過去があったのだ。