2022.02.09
# エンタメ

アニメ『平家物語』は「宝」と呼びたいほどの“大傑作”、なぜこれほど胸に迫るのか?

※本記事は「平家物語」、アニメ『平家物語』のストーリー展開に触れています。

胸に響く「滅びの歌」

アニメ『平家物語』が深夜の地上波で放送されている。

胸に刺ささる作品である。

 

主人公は、男のなりをした琵琶を弾く少女「びわ」。

ゆえあって平重盛の館に住むことになり、その子息の平維盛、資盛、清経らと兄弟のように育つ。

平家の栄華から没落をその内側から見続ける「他者」のポジションにいる。

ぼんやり見ているぶんには「平家のことを語り伝えるためだけにその中枢にいる妖精」のようである。

「平家物語」の語り手の化身とも言える。

その透き通った声が、見ている者の心を掴んでを離さない。

その透徹さは、時を越えていく。

800年を越えて語り継がれている『平家物語』は滅びの歌である。

平忠盛の出世から始まり、栄華を極めるさまから、一族もろともに滅んでしまう姿が活写される。

「やがてこの人たちは地上から消え去る人たちである」と知って、私たちはこの物語を聞いている。

淡々と、切々と、一族の興亡を描く。

悲しみを漂わせて語ってはいるが、「悲哀」そのものを描いているわけではない。

人を描いているだけである。

人は、世に生まれ、育ち、壮んになり、やがて消え去る。

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