「地方の体育館」のレベルを超えている…八戸市のスポーツ施設の「スゴすぎる実力」

家電ライター藤山の「全国照明紀行」
藤山 哲人 プロフィール

FLAT HACHINOHEがほかのスケートリンクと圧倒的に違うのは、リンクと観客席の明暗差。リンクは眩しいほど白く輝いているが、観客席は保安灯ほどの明かりはあるものの、観客席のイスが見えることはほとんどない。

リンクは明るく照らされているが観客席のイスはほとんど見えないほど暗い

2022年北京五輪でも見たとおりアイスホッケーやフィギュアスケート、カーリングやスピードスケートは、いずれの種目も観客席までバッチリと照明が当っている(スポンサーロゴを見せる仕様かもしれないが……)。そのため有名人やチームメンバーが応援に来ていると、カメラがそれを抜くというシーンがよく見られる。中にはアスリートより気になる観客を見かけることもある。

しかし、FLAT HACHINOHEはリンクだけが浮かぶように明るく照らされるので、まるで舞台のよう。パナソニック エレクトリックワークス社 ライティング事業部 スポーツ照明課の北本博之氏によれば「光の重心を競技面のみに集中させ、劇場のような没入感を高めた観戦環境を実現しています。これには(競技面と観客席で)明るさの対比が異なる5種類の空間で評価し、実際の照明設計に反映しています」という。

さらに映画館と同じように観客の入退場時は観客席も明るくして、足元まで明るく照らしスムーズな移動を可能にしているとのことだ。

ムラのない真っ白なリンク。自分の影が落ちないが不自然だが、全方向から照明が当たっているという証拠だ
 

リンクに立ってみると、一面ムラのない明るさになっていた。氷上は白く光を反射するが、まったく眩しさを感じることのない。たとえて言うなら、沖縄の白浜のビーチにいるような自然な光の差し方だ。

唯一不自然なのは、自分の影がリンクにほとんど落ちないという点。太陽光だと必ず1つ影が落ちるし、一般的な体育館照明だと場所によっては影が自分を中心に放射状に何個も落ちる。

しかし、ここは全方向から均一に光があたるので自分の影が落ちないのだという。競技にとって、また観客や審査員そして放送用カメラにとってはベストな照明と言えるだろう。

最初に説明したとおりFLAT HACHINOHEは、断熱材と床を張ることでバスケットやバレーボール、フットサルなどの試合もできる。そしてそれぞれのルールブックに沿った照明に切り替え可能だ。しかも切り替えは、専用のタブレットにタッチするだけというカンタンさだ。

場内130個のLED照明は1灯1灯がコンピュータに接続され、それぞれの明るさを制御室からコントロールできる

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