2022.02.10
# エンタメ

“暗殺”再び…『鎌倉殿の13人』が三谷幸喜史上「もっとも怖い大河」と言われるワケ

木村 隆志 プロフィール

ネタバレ物語を1年間見せる難しさ

当然と言うべきか、三谷幸喜らしい笑いの要素もふんだんに盛り込まれている。たとえば、石橋山で対峙した北条時政が、敵方の大庭景親(國村隼)を挑発するつもりが、逆に挑発されてしまい、思わず「それ、かかれ!」と真逆の指示を出すシーンが視聴者の笑いを誘っていた。

ただ、このシーンは史実通りに描いたようであり、そもそも三谷は「僕の大河は荒唐無稽なんかじゃないんです」と強調している。実際、『吾妻鏡』などの資料を読み込んだ上で忠実に書き、書かれていないところは自分なりの解釈をしているというのだ。

その他、伊豆山神社に身を隠した北条政子(小池栄子)、りく(宮沢りえ)、実衣(宮澤エマ)の脱力した会話劇や、源頼朝の夢枕に後白河法皇(西田敏行)が立つシーンなど笑いを誘うシーンは多く、これらは「三谷幸喜の通常運転」という感がある。

 

しかし、前述した怖さとのギャップは過去作よりも明らかに大きく、三谷本人が会見で「新しい大河を作りたい」と言っていた理由がここにうかがえる。

とはいえ、物語のベースは多くの人々が知っている歴史上の出来事である上に、ホームページの「あらすじ」には歴史上の出来事が書き込まれた年表あり、「現在どの部分を放送しているのか」がすぐに理解できる。

さらに最下段には、「ネタバレ注意 もっと見る」というボタンがあり、その先には1224年の「義時、死去」以降、1232年の「北条泰時が『御成敗式目』を制定する」など、1235年までの出来事が書かれている。

『鎌倉殿の13人』は、「ここまでネタバレしている物語を1年間にわたって見せ続けなければいけない」という難しさに挑む1つの切り札として、最後まで「怖さ」を感じさせる作品になるのではないか。

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