2022.02.14
# 鉱物

「外はトロトロ、中はガチガチ」地球の中心、コアの不思議な構造に迫る!

かつては全部溶けていた!?

2003年に公開された『ザ・コア』というSFパニック映画をご存じでしょうか? 主演がアーロン・エッカート(『ダークナイト』でハービー・デント/トゥーフェイスを演じた、ケツ顎が印象的な俳優)とヒラリー・スワンク(2度のアカデミー主演女優賞の受賞歴がある、名優)の2人で、なかなか豪華なキャスティングでした。楽しい作品ですが、科学考証がかなりアレなため、ブルーバックス的にはおススメしていいものか悩ましい……。

この映画のタイトルにある「コア」とは、地球の中心に現実にある「鉄球」の名前です。コアの半径は約3500kmと知られています。ちなみに、月の半径がおよそ1700km。地球の中に月よりもはるかに大きな鉄球があると聞くと、なんだか不思議な感じがしないでしょうか。

コアが存在することは間違いないのですが、わかっていることは多くありません。謎の宝庫であり、地球科学者にとっては興味の尽きない存在です。今回はこの謎だらけの鉄のかたまりに注目してみましょう。

地球の中心には何がある?

半径約6400kmの地球の中身は地殻・マントル・コアの3層に分けられる。地殻は地表を覆う薄い岩石層、マントルは地殻の下から深さ約2900kmまでを占めるぶ厚い岩石層だ。

マントルの下のコア(核)は金属鉄のかたまりである。その形はほぼ球体で、半径は約3500km。地球半径の55%ほどだ。

コアについて調べるとき、まずは地震波が頼りになる。コアを通って地表に届いた地震波をたくさん観測・解析することで、理解が進んできた。

コアには層構造があることがわかっている。外側の層が外核で、その内側は内核と呼ばれる。内核が発見されたのはわりと最近のこと(1936年)だ。当時太陽系のもっとも外側の惑星とされた冥王星が発見されたのがその6年前であったため、「地球の中心は太陽の果てよりも遠い」といわれることがある。

地球中心を占める内核の半径は約1200km。半径で比較すれば、コア全体の3分の1程度、地球全体の5分の1ほどだ(図1)。

【図】地球内部の3層構造と月の大きさ地球内部の3層構造と月の大きさ。地球の中心には月よりも大きい鉄球がある

図1のような地球の断面図では、内核はそれなりに存在感があるが、体積割合にすると、コア全体のわずか4%しかない(地球全体の1%に満たない)。この数字を知ると、内核が発見しにくかったのも仕方がない気もしてくる。

外はトロトロ、中はガチガチ

地震波の観測から、外核と内核の大きな違いが明らかになった。

地震波にはP波(縦波)とS波(横波)がふくまれる。P波とS波は伝播速度に差があるため、時間的にずれて伝わる。また、P波は固体中も液体中も伝わるが、S波は固体中しか伝わらない。地震波のこうした特徴を利用することで、地球内部のどこが固体で、どこが液体かを見分けられる。

地球内部で地震波速度がどのように変化するかが明らかになっている(図2)。外核に相当する深さ(約2900〜5200km)で、S波速度がゼロになっていることが一目瞭然だ。これは、外核が液体である(S波を伝えない)ことを示している。残りの地殻・マントル・内核は固体である。

【グラフ】地球内部の地震波速度分布地球内部の地震波速度分布。P波(縦波)とS波(横波)の速度が明らかにされている。いずれも深さに よって変化するが、特定の深さで急激に変化することが知られている(Dziewonski & Anderson, 1981より)

金属鉄でできているという共通点から、「コア」とひとくくりにされるものの、外側は液体で内側は固体で構成されている。外核と内核はずいぶんとちがう。

このコアの層構造について考えてみたい。コアはなぜ外側が液体なのだろう? いや、それとも、内側が固体である理由を問うべきだろうか?

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