例えば、昨年の衆院選(2021年)で検証すると、若者世代の投票率が高齢者世代より5%高かった場合でも、若者世代の投票者数は高齢者世代の7割に留まり、全世代で最小となる。ちなみに、若者世代の投票率が100%だった場合も検証したが、この場合も高齢者世代にわずかに及ばない。

つまり現在の日本は、若者の投票率がどんなに上がったとしても、政治への影響力が高齢者世代に及ばないレベルにまで若者世代の有権者数が少なくなっており、「若者が選挙に行かないから」の論理が成立しない時代に突入しているのだ。

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高齢者世代の意識のアップデートが必要

最後にグラフ4を見ていただきたい。このグラフは、このグラフは、実際の有権者数と投票者数の推移を示したグラフ2に、20年後(2040年)を予測を加えたものだ。

グラフ4/筆者作成
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少子高齢化が更に進んだ20年後には、グラフ4の左図に示すように、高齢者世代の有権者数が全体の5割に迫ることが予測されており、その結果、世代間の投票率の推移に極端な変動がない限りは、右図で示すように高齢者世代の投票者数が全体の5割を超えることになる。つまり、今の子どもたちが成人する20年後には、高齢者世代の意向のみで社会を動かすことが可能な時代がほぼ確実に訪れるのだ。

この事態を日本はどう乗り越えるべきか、私には分からない。ただひとつ言えるのは、高齢者が偏って権力を握る状況では、高齢者世代が時代に応じた意識のアップデートを行うことはもちろん、若い世代に対して強く責任を負わなければ全世代の民意を反映した社会を実現させることが原理的に不可能ということだ。

このような中では、例えば数として力を持てない若い世代に、その世代の意見が反映されない場合の責任を高齢者世代に追及する法的な権利を与えるといった、これまでの時代感覚からは過激と思われるような劇的な変化が必要となるだろう。そうでなければ、全世代の民意を反映した民主主義社会を持続させることはもはや不可能なところにまで日本は達しつつあるのだ。

過去の記事「『シニア世代』が『若者世代』を搾取する…研究業界に見る日本社会の危機」にも書いたように、現在の日本で起こる政治等の問題の多くは、主に社会的に力を持つ高齢者の“下の世代への無責任さ”によってもたらされている。このような状態が続けば、日本の民主主義社会が崩壊する事態が20年、早ければ10年という短い時間スケールでやってくる。私たちは目前に迫るこの危機をはっきりと意識し、今すぐ舵を切らなけばならない。