続いて、投票者数の推移(グラフ2の右図)を見ると、若者世代の投票者数の落ち込みが有権者数の落ち込みに比べて激しく、高齢者世代はそれと対照的に、投票者数の増加率が有権者数の増加率を上回っている。この違いは、最初に示した若者世代の投票率の低さから生み出されている。投票者数は有権者数に投票率を掛け合わせた数なので、投票率の低い若者世代は投票者数がより低く、高齢者世代はより高くなる傾向にあるのだ。

その結果、若者世代の投票者数が高齢者世代と入れ替わる現象が、有権者数の推移より10年早く約30年前に起こり、若者世代は投票者数において30年程前から最少数派となってしまっている。

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若者世代の民主主義は機能していない

しかしここで、若者世代の投票率の低さが問題の本質だと安易に結論づけてはいけない。グラフ3を見てもらいたい。

グラフ3/筆者作成
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グラフ3の右図はグラフ2の投票者数の推移と似ているが、現実の値ではなく、「各時代でもし若者世代の投票率が現実より高かったら各世代の投票者数の割合はどうなっていたのか」を確かめるために、現実の有権者数を「現実と違い若者の投票率が全世代で一番高かった場合を想定した仮の投票率」と掛け合わせて計算した、仮の投票者数の推移である。ここでは、左図の黄色実線が示すように、若者世代の投票率が他の世代の最高値より5%高い場合を仮定した。
この5%という比率に具体的な意味はないが、時代とともに全体的な投票率が下がるというトレンドを考慮した現実的な数字として、今回はこの比率を採用した。

まず、実際の値(グラフ2 右図)との違いとして注目したいのは、2000年の選挙までは若者世代(黄色線)が最多数派となっている点だ。20年ほど前までは、投票率が高ければ若者世代は投票者数として多数派になりえていたのだ。これはグラフ2 左図の有権者数の推移で示したように、当時の若者世代は有権者数において多数派であり、選挙にさえ行けば投票者数においても多数派になりうる十分な数を有していたからである。この時代の若者が「若者が選挙に行かないから」と意見されることは、ある程度合理的だったわけである。

しかしここ10年程の選挙では状況が一変し、投票率が高かったとしても若者世代はもはや多数派にはなりえなくなってしまっている