「若者の政治離れ」。この言葉を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。実際、昨年行われた第49回衆議院総選挙では、20代の投票率は36%(全体の投票率は56%)と全年代の中で最も低かった(総務省選挙部「年齢別投票状況」より)。

では、若者が投票に行かないとどうなるのか。よく見聞きするのが、若者が選挙に行かないと政治家は自分に投票してくれる高齢者の期待する政治ばかりを行い、子育て支援など若者が求める政治が行われなくなる、という意見だ。ジャーナリストの池上彰氏も選挙と政治について解説する冊子『池上彰のマンガでわかる選挙と政治の話 2021』でまさにそう語っている。

一方で、少子高齢化の進む日本では、そもそも数が少ないので若者が選挙に行っても意見は通りづらい、という声も聞かれる。実際、昨年の衆院選の時点での30代以下の有権者数は全体の26%であり、若者世代が少数派であることは事実である

では一体、若者の投票には具体的にどれほどの有効性があるのか。本当に若者が投票に行かないことが今の高齢者重視の政治を生んでいるのか。ここ50年の投票率や有権者数の推移を詳しく見てみると、選挙ベースの民主主義を基本とする日本社会の大きな危機が浮かび上がってきた。

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「若者の政治離れ」は今に始まったことではない

最初にグラフ1を見ていただきたい。このグラフは、30代以下を「若者世代」、40〜50代を「中年世代」、60代以上を「高齢者世代」と3つに分けた場合の、過去50年間の投票率の推移を示している。

グラフ1/筆者作成

このグラフで何より特徴的なのが、若者世代(黄色線)は50年前から常に投票率が一番低かったという点と、その変動の大きさだ。50年前に60%台だった若者世代の投票率は、現在は40%近くにまで減少している。 一方で、高齢者世代(赤色線)の投票率は、現在は減少傾向にあるものの50年前と現在との間に大きな差はなく、70%前後で推移している。

次に注目したいのが、若者世代の投票率が大幅に減少したのは最近の話ではなく、30年程前の出来事という点だ。ここ20年はむしろ減少が止まる傾向にあり、減少率(グラフの傾き)で見ると中高齢者世代より緩やかである。現在は「若者の政治離れ」が急進した過去に作られた水準がキープされているだけなのだ。

「若者の政治離れ」を議論するのであれば、今の若者に責任を押し付けるのではなく、自身が若かった時にこの風習を生み出してしまった今の中高年世代を含め、社会全体で議論しなければ本質的ではないということだ。