「デジタル敗戦」を日本が克服するために何が必要なのか

着弾されっぱなしのサイバーミサイル

インターポールで初代のサイバーセキュリティ総局長を務めた中谷昇氏が、緊迫する国際情勢下での経済安保の重要性から、スマホや顔認証システムの信頼度といった身近なセキュリティ情報までを語り尽くした話題の書『超入門 デジタルセキュリティ』のレビューを公開する。日本のビジネスマンが心がけるべきこととは?

サイバー犯罪リスクの変化

本書は、まず次の事実を述べることからはじまっています。

いま、日本の犯罪検挙数が減少の一途を辿っているのをご存じだろうか。
二〇〇二年に、警察が把握した犯罪の件数は約二八五万件だったのが、二〇二〇年には約六一万件となった。新型コロナウイルスの外出自粛によって犯罪が減ったという要素もあるが、八割近くも減少しているのである。
他方で、サイバー犯罪は急増している。同期間で見ると、〇二年に約一六〇〇件から、二〇年の約九八〇〇件と増加している。

驚かずにはいられませんでした。いずれこうなるだろうとは思っていましたが、これほど早いとは。背景には本書も指摘するとおり、新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行があります。

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考えてみれば道理です。

コロナウイルスの大きな特徴は、人であれば誰でも感染する可能性があることです。相手が世界一の金持ちだろうと、住む家を持たぬ人であろうと、ウイルスは人をえらびません。まさに平等です。しかも、彼らはかならず「人あるところ」で悪さをします。

泥棒とか強盗とか殺人とか、従来の犯罪はとてもリスクが高いのです。逮捕・拘束のリスクではありません。感染リスクです。

空き巣が無人の家に侵入して金品を盗むとき、その家のあちこちにウイルスが濃厚に付着している可能性を否定することはできません。殺人であれば、感染者の返り血を浴びることだって考えられます。想像するだにおぞましいことです。

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