文部科学省が2021年10月13日に発表した「令和2年度児童生徒の問題行動」によると、令和2年度、小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は517,163件(前年度612,496件)。コロナの影響で物理的距離が生じ、前年度に比べ95,333件(15.6%)減少してはいるものの、認知されているだけでも52万人近くの子どもたちが、いじめに苦しんでいることになる。

いじめの内容はエスカレートし、2021年もいじめを苦に自殺をはかった悲しい事件も起きた。ではいじめは「された側」がどうにかしなければならない問題だろうか。田村由美さんのマンガ『ミステリと言う勿れ』は菅田将暉さん主演でドラマ化され、人気を集めている。ジャーナリストの島沢優子さんが、ドラマでも話題となった主人公の言葉を入り口に、加害側の病理について考察する。

島沢優子さん連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」これまでの記事はこちら
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SNSでも「目からウロコ」の声続出

フジテレビ系列のドラマ「月9」で人気を呼んでいる菅田将暉さん主演の『ミステリと言う勿れ』。1月31日放送分の第4話が視聴率13・3%と同時間帯トップをキープしている。原作は、作家・田村由美さんによる同名漫画。菅田さん演じる大学生の主人公、久能整(くのう・ととのう)が飛びぬけた記憶力や観察力を武器に事件を解決していく物語だ。

第2話では、久能が言及した「子どものいじめ問題」に関する言説が、視聴者の間で「目からウロコ」と反響を呼んだ。
 

ドラマ2話、3話で描かれたバスジャック事件が掲載されている2巻

バスジャック事件の人質となる久能。犯人が久能を含む人質たちに「今までに犯した最も重い罪」を問いただすと、ひとりの男性が、駄菓子屋で万引きをさせられているうちに駄菓子屋がつぶれたと告白。学校を休みたかったが、当時は「逃げていい」と言ってもらえる風潮がなかったと涙を流す。

これに対し、久能は問題提起する。
「僕は常々思ってるんですが…、どうして、いじめられているほうが逃げなきゃならないんでしょう」
ハッとした表情で注目する、人質と犯人たち。
欧米の一部では、いじめているほうを病んでると判断するそうです。いじめてなきゃやってられないほど、病んでる。だから隔離して、カウンセリングを受けさせて、癒すべきと考える。日本は逆です。いじめられてる子をなんとかケアしようカウンセリングを受けさせよう、逃げ場を与えよう。でも逃げるのってリスクが大きい。学校にも行けなくなって、損ばかりする。DVもそうだけど、どうして被害者のほうに逃げさせるんだろう。病んでたり、迷惑だったり、恥ずかしくて問題があるのはいじめてるほうなのに

(c)田村由美/小学館『ミステリと言う勿れ』2巻より
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さらに続ける。
「親や先生に『あいつにいじめられたよ』『あいつ病んでるかもしれないから、カウンセリング受けさせてやって』臆さずにそう簡単に言えるようになればいいと思う」

まったくその通りだ、と思った。

(c)田村由美/小学館『ミステリと言う勿れ』2巻より
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