地球環境のために、私たちがいまできることとは何でしょうか。ガラパゴス諸島で進化の最前線に触れた生物学者の福岡伸一さんが、動物たちと触れ合い、確信した真実の進化論、生命のあり方とは?

福岡伸一(ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。青山学院大学教授、米国ロックフェラー大学客員研究者。著書に『生物と無生物のあいだ』など。ガラパゴスへ赴き、「生命とは何か」の本質に迫った最新刊『生命海流 GALAPAGOS』(朝日出版社)が発売中。

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ありのままの生命がある、
ガラパゴス諸島へ

長らく、ガラパゴス諸島へ行きたいと思っていました。もちろん観光で行く方法はあったのですが、せっかくなら生物学者として、進化論を打ち立てたチャールズ・ダーウィンが200年ほど前に訪ねた経路で旅を再現したい。そのためには船をチャーターして、乗組員、料理人、監視係としてレンジャーを雇う日当も必要になる。日本からカメラマンと通訳を連れ、一大探検隊として島を訪れるのはなかなか難しいことでした。

写真:『生命海流 GALAPAGOS』(朝日出版社刊)/撮影:阿部雄介

そもそもガラパゴスは一般的に、ガラパゴス化という言葉で進化から取り残された場所と言われますが、それは違います。確かに大陸からは隔絶されていますが、地質年代から見ると新天地といえる場所で、そこにたまたま行き着いた、ごく限られた生物たちがゼロから進化をやり直している実験場であり、進化の最前線と言えるんですね。エクアドル領として開発からも免れ、人間の手が入らない自然が残されている地球最後の場所で、進化の現場を見てみたい。普段、我々は都市で文化と文明に守られて生活をしていますが、そのような「ロゴス(理性)」の殻を脱して自然の中に身を置き、根源的な生命体のひとつとしての「ピュシス(自然)」を取り戻した時、何が見え、何を感じるかを確かめたいというのも、旅の大きな目的でした。