2024年度(2025年1月)は、大学入試の大きな改革のある年だ。その時に現役受験生となるのは、現在の中学校3年生。そして、ちょうどその年頃の娘から、「高校での進路、理系と文系、どっちがいいと思う?」と相談されたという50代の母親Mさん。自身は理工学部化学科を卒業しているが、文系就職している。だが迷わず「理系がいいと思うよ」と答えたという。

その理由は、「義母の借金トラブル」をきっかけに「数学的構え」の重要性を知ったからだ。一体どういうことなのか。そのトラブルの概要とともに、目覚めるきっかけとなった新井紀子著『生き抜くための数学入門』(新曜社刊)の引用掲載にて「数学」が現代社会を生き抜くために大きな力を発揮する理由をお伝えする。

数学は社会生活にどう役立つのか

就職して理系が役立ったことはない

Mさんの就活は、’91年。翌年からやってくる氷河期なら、「理系は内定をもらいやすい」恩恵を感じられたかもしれないが、時はバブルで売り手市場。 経済、経営学部の友人が、いくつも内定をもらい、商社と銀行と生保で迷う一方で、Mさんがいた大学の研究室は、一社ずつしか受けられなかったという。

「理工学部の中でも化学科は研究室推薦が一般的で、基本一社しか受けられません。就活よりも実験が優先、会社説明会に行きたいというと、『何社受けても、一社しか入れないんだぞ』と嫌味を言われました」

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しかもMさんは、学校の成績がパッとせず、希望企業への推薦はもらえなかったため、早々に推薦での就職を諦めた。そして教授に嫌味を言われながらも複数の会社を受けて、自力で内定をもらった。

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「それから3度転職しましたが、大学で学んだことは一度も使ってない」という。 つまり学校で学んだことが仕事に役立っているわけではないのだ。それなのに、なぜ、子供には理系を学ばせたいと望むのだろうか。