結束できないバイデン民主党、11月中間選挙に向け早くも深刻な劣勢

共和党の切り崩しにインフレの追い打ち
安田 佐和子 プロフィール

プログレッシブとは一線

そもそも、ウエストバージニア州もアリゾナ州も共和党寄りの州として知られる。大統領選挙の結果をみると、ウエストバージニア州は2000年以降、2020年のトランプ氏を含め6回連続で共和党候補を選出した。アリゾナ州では1952年以降、2020年のバイデン氏と1996年のクリントン氏の2人が当選したのみで、共和党候補が18回中、16回制していた。

マンチン氏とシネマ氏が中道派でプログレッシブ寄りの政策と一線を画す理由のひとつは、こうした地盤にある。

その上、マンチン氏の地元ウエストバージニア州は、鉱業が州経済の16%を占め、マンチン氏自身もエネルギー関連企業から独立し、1988年に石炭取引仲介業者Enersystemsを創業。今は息子が経営するとはいえ、エネルギー利権に敏感であっておかしくない。

こうした事情を踏まえれば、インフレ高進や財政悪化に加え、気候変動対策を中心にBBBAを支持しないのも頷ける。

翻ってシネマ氏は、マンチン氏ほど明確な根拠が見当たらない。シネマ氏は幼少の頃、ガソリン・スタンドなどで寝泊まりするホームレスとして過ごし、ソーシャルワーカーとして勤めた後、法務博士を取得。緑の党から政治の世界に飛び込み、2004年から民主党に移籍した異色の政治家だ。

バイセクシュアルを公言し、色鮮やかなファッションに身を包むトライアスロン経験者としても知られる。LGBTや移民の権利を主張するシネマ氏は、時に共和党に与してきた。その代表例として、金融危機を受けオバマ政権下で成立したドッド=フランク法を規制強化として、一部巻き戻しを掲げた2018年5月成立の経済成長・規制緩和及び消費者保護法案への支持が挙げられよう。

 

その後、バイデン政権発足後は俄かに中道派色を強めることになる。シネマ氏の中道派姿勢をみて、同じアリゾナ州選出の「故マケイン議員を真似ているのではないか」との声も聞かれる。映画「トップガン」の主人公のニックネームでおなじみの「マーベリック」(一匹狼、異端者)の異名を持つマケイン氏は、トランプ前大統領に臆することなく対峙し、人々の喝采を浴びた。シネマ氏の脳裏に、マケイン氏の雄姿が残っていてもおかしくない。

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