送料で利益を出す企業
これだけECやフリマサイトの荷物が増えると、一般の荷物に対しても送料の認識が薄くなってくる。先ほどの婦人のように今まで安いと言っていた人も、口を揃えて高いと言い出したのだ。
宅配便が、婦人のように自分が届けるという行為を宅配業者に託していたものが、人が送った物を宅配業者が届けてくれるのを待つという、「送る立場」から「受け取る立場」の意味合いのほうが強くなった。

宅配便業界1位のシェアを占めるヤマト運輸の社訓の中にある「運送行為は委託者の意思の延長と知るべし」の「委託者の意思」は、ここ最近の再配達問題も然り、「受取人の意思」にすり替わっているのかもしれない。
私はセールスドライバー時代、契約荷主からこのような相談を受けたことがあった。
「うちの取引先A社の送料の請求金額が高いんだけど、何とかならないの? A社と契約しているの、おたくと同じ会社でしょ」
同じ会社でも営業所によって、それぞれ営業のスタイルも方針も違う。営業方針に首を突っ込むわけにはいかないと思いながらも、取引先A社の担当ドライバーに尋ねてみた。
「A社の送料が高い!?そんなことはありませんよ。ギリギリの値段でやらせてもらってます。ひょっとしたらそちらのお客さんには正規の運賃で請求しているんじゃないですか?」
このように送料を儲けの一部として捉えている企業も少なくなかった。
「送料無料」や「送料サービス」ではなく、全国一律や、配送先地域別で送料を設定し、送料は別ものと捉えている企業も多くある。しかし、送料を隠れ蓑として利益を出そうとする企業が存在するのも事実だ。