2022.02.08

月経前の不調は我慢するもの…? 仕事や学校に行けないのは「甘え」ですか

知ってほしい、「PMDD」のこと
旦木 瑞穂 プロフィール

「PMDD」とは何か

では、このPMDDとはどういう状態なのだろうか。

近年、ようやくPMS(月経前症候群)がテレビなどでも取り上げられるようになり、「女性は月経前に不調になることがある」ということは、性別に関わらず多くの人が知るところとなった。だが、PMDD(月経前不快気分障害)については知らないという人もいるだろう。

月経痛は、月経が始まったと同時に起こる身体的症状だが、PMS・PMDDは、月経が始まる14日ほど前~直前に症状が起こる。PMSもPMDDも、眠さやだるさ、下腹部痛や腰痛、乳房の痛みや頭痛、便秘または下痢、ニキビなどの肌荒れといった身体的症状に加え、イライラや抑うつ気分、焦燥感や情緒不安定といった精神的症状も起こる場合が多い。中でもPMSよりも精神的症状が強く、「仕事ができない」「学校へ行けない」など、社会生活に大きな支障をきたすレベルのものをPMDDというのだ。

写真はイメージ/photo by iStock
 

排卵後の急激なホルモンの変調に伴って起こるといわれているこれらの症状は、月経が始まると数日で軽快する。一般的にはストレスや疲労が蓄積すると症状が強まりやすいと言われているが、そのメカニズムはまだ十分に解明されていない。

世界各国で長年「タブー」とされてきた月経

この「PMDD」のケースからわかるように、月経に関連する研究が遅れている大きな理由のひとつに、月経が世界各国で、「不浄なもの」「タブー」として長い間忌避されてきたことが挙げられる。

例えば、古代ローマの歴史家である大プリニウスは、「月経血に触れると、新しいぶどう酒が酸っぱくなる。草木は枯れる。種は生えなくなる。果実は木から落ちる。鏡は曇る。ナイフは切れなくなる。ミツバチは死んでしまう。犬は凶暴になる」などと記述しているほか、1970年代にも、コスタリカでは月経中の女性と同じ食器を使った人は死ぬと信じられ、インドやアフリカには、月経中の女性は鍋や釜を他の家族と別にする慣習のある地域があったという報告がある。同じ頃、イタリア、スペイン、ドイツ、オランダでは、月経中の女性が花や果物に触ると萎びる、などと言い伝えられていた集落があったという。

月経禁忌が生まれた理由は、まずは「出血=死」という連想から自然に湧き上がる恐怖感、そして「女性にだけ起こる現象」ということから、女性に対する男性からの畏怖感が生じ、次第に禁忌とされていったのではないかと言われている。

では、日本ではどうだったのか。

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