17世紀の哲学者・スピノザを、21世紀の私たちが読むべき理由

『スピノザ—人間の自由の哲学』刊行記念
スピノザのラディカルな思想の魅力を平易な文体で綴った現代新書の最新刊『スピノザ—人間の自由の哲学』が、いよいよ今月発売となります。
17世紀を生きた哲学者の生涯と思想を、21世紀の今、改めて読む意味とは何でしょうか。刊行に際し、著者の吉田量彦氏に語っていただきました。

2月21日はスピノザの345回目の命日

2022年の最初の一ヶ月が終わろうとしている今、この文章を書いています。オミクロン株とかいう新型コロナウィルスの変異種が、日本全国津々浦々で、すさまじい数の感染者を生み出し続けている最中です。

何をどうしたら感染しないで済むのかさっぱり分からず、ただただ可能な限り人と会わないようにしながら、大学の研究室と自宅アパートとの、片道徒歩10分ほどの道のりを往復する毎日です。

途中の寄り道でさえ数日に一回、酒や食料の買い出しのため、恐る恐る近所のスーパーやコンビニに立ち寄る程度。まして電車で2駅も先の、人でごった返す繁華街の書店になど、恐ろしくて近寄れたものではありません。リアルタイムでこれを読んでいる皆さんも、多かれ少なかれ似たようなお気持ちではないでしょうか。

よりにもよってこのタイミングで、拙著『スピノザ―人間の自由の哲学』が書店に並びます。奇しくもあと少しで2月21日、スピノザの345回目の命日です。タイミングがいいのか悪いのか分かりません。

 

それでもまあ、無事刊行を迎えられそうで安心しています。「あとがき」でも触れましたが、ここ数年はコロナ禍で大学の業務が色々増えたため、脱稿は当初の予定より大幅に遅れてしまいました。編集の方を散々お待たせしてきた心苦しさからも、ようやく解放されそうです。

タイミングといえば、そもそも17世紀を生きた哲学者の生涯と思想を、なぜ21世紀の今になって、しかも新書としては中々の紙幅を費やして、詳しく取り上げなければいけないのでしょう。

今さら気合いたっぷりにスピノザの「アクチュアリティ」を言い立てても、あからさまな販促エッセイみたいになってしまいますから、ここはごくあっさりと、2点だけ指摘して済ませようと思います。一つは本書で「裏の主著」と呼んだ『神学・政治論』に関わることであり、そしてもう一つは「表の主著」、つまり『エチカ』に関わることです。

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