日本の「医療崩壊」のウラで…国も都道府県も、病院に「行政命令」を出せない不条理

新型コロナウイルス・オミクロン株が猛威をふるい、いま日本社会は再び「医療崩壊」に直面しています。

ところで、欧米に比べて感染者数が極端に少ない日本で、なぜ医療崩壊が起きてしまったのでしょうか。

これまで、その原因については様々な説が唱えられてきました。

「日本は公立・公的病院の数が少ないからだ」という議論もありました。実際、日本の公的な病院の数は国際的に見ても少ないのですが、しかし問題の本質は「民間の病院に対して行政命令ができない法制度にある」と、学習院大学教授で経済学者の鈴木亘さんは言います。

『医療崩壊 真犯人は誰だ』より、そのように言える理由を、数字に基づいて解説します。

アメリカはなぜ病床を増やせたか

たとえ民間病院が多くても、アメリカのように、非常時には大統領や知事による「緊急命令」によって、病床確保を民間病院に命じられる法制度であれば、公立・公的病院の割合が低くても問題がありません。

例えば、第1波で医療崩壊に直面したニューヨーク市では、当時のアンドリュー・クオモ州知事のリーダーシップにより、民間病院を含めた州内の全病院に対し、最低でも50%以上、病床を増やすよう緊急命令が発令されました。従わない場合には、州がその病院を接収するという強制措置が行われますから各病院も従わざるをえません。

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