2022.02.01
# 北朝鮮

ミサイル連射の北朝鮮、その影で感じる「2017年」とは違う“不気味な兆候”

金正恩は何を考えているのか

2017年とは違う不気味な空気

北朝鮮が1月30日、中距離弾道ミサイル「火星12」(射程約5千キロ)を発射した。北朝鮮が火星12を発射するのは、2017年9月15日以来、4年半ぶりのことだ。31日付の労働新聞は「生産、装備されている火星12を選択検閲し、全般的な兵器システムの正確性を検証する目的で行われた」と伝えた。

photo by gettyimages
 

自衛隊の元幹部は「実戦配備されているという事実を強調することで、脅威を与えようとしている」と語る。韓国の専門家は「ミサイルの射程はすなわち、標的を意味する。火星12はグアムの米軍基地を狙う兵器。米国にメッセージを送りたかったのではないか」と語る。

北朝鮮は1月に7回、計9発のミサイルを発射した。これまでは、いずれも短距離のミサイルだった。別の自衛隊元幹部は火星12の発射について「脅威のステージが一段階、上がった」と語る。

北朝鮮メディアは31日、この発射を報じたが、肝心の米国に対する言及は一切なかった。ここに2017年当時とは違う、不気味な空気を感じる。

この間の北朝鮮の動きを子細に見ていくと、いくつか不可解、あるいは不気味な兆候が浮かび上がる。まず、北朝鮮が米国を批判し、強いメッセージを送ったのは、1月19日に開かれた朝鮮労働党政治局会議だった。金正恩総書記も出席し、北朝鮮が「暫定的に中止した全ての活動の再稼働」を検討するよう指示したという。これは、北朝鮮が2018年4月に決めた豊渓里核実験場の廃棄や核実験・大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の中止を指すとみられた。

だが、北朝鮮はわずか3週間前に、党中央委員会総会を開いて、2022年の施政方針全般を定めていた。そこでは新型コロナウイルス対策と農村改革が主要テーマに定められた。外交については「多事にわたる変化の多い国際政治情勢と周辺環境に対処して北南(朝鮮)関係と対外活動部門で堅持すべき原則的問題と一連の戦術的方向を示した」と伝えられた程度だった。当時、関係政府や専門家らは「コロナ対策で国境封鎖を続けるため、自力更生路線など内政に集中するつもりだろう」と分析していた。

年末から1月19日の政治局会議までの変化といえば、米国が北朝鮮国籍者6人などを独自制裁の対象に加えた程度だった。米国は国連安全保障理事会決議の制裁対象にも加えるように働きかけたが、中ロなどの反対で実現していなかった。空母や戦略爆撃機を次々朝鮮半島近くに派遣したトランプ政権時代の動きとは比べものにならない。最初から難癖をつけるつもりなら、なぜ、党中央委員会総会で決めなかったのか、という疑問が残る。

関連記事