どの国の法律に従うのか
証券などでは禁止されているインサイダー取引のような販売もNFTでは規制されていません。数人のグループでお互いにNFTアートを購入しあって値段を釣り上げ、高値にして人気があるように見せかけて売り抜けるといったことも起きています。
NFTの購入履歴はブロックチェーンで確認できるので、高額なアート作品を購入した人の口座アドレスに対してNFTアートを送り付けて、あたかも有名なNFTコレクターが購入したかのように見せかけ、作品の値段を釣り上げようとしている人たちもいます。ブロックチェーンをよくみれば購入していないのは分かるのですが、細かく確認しないと騙されてしまいます。誰もが簡単に出品できてブロックチェーンに購入履歴が記録されるということは、今まででは考えらえないような詐欺も起きるのです。
また、NFTマーケットプレイスは現時点では商法上の扱いではなく、個人での取引のような扱いになっているので、出品者の連絡先なども提示する必要がありません。購入後は全く連絡がつかず、泣き寝入りになってしまう可能性もあります。

さらに、オンラインでNFTアートを暗号資産で売買するために、簡単に国境を越えて取引を行うことができます。越境できるのでビジネスチャンスは増えるのですが、トラブルが起きた時に、どちらの国の法律に従うのかといったことも曖昧です。
もっとも、NFTマーケットプレイスの中にはそういったことへの対策として、出品する前に本人確認だけでなくアーティストとしての活動などを審査するところも出てきています。今後、業界団体が安心して取引できるように政府よりも先にガイドラインを策定してくることが期待されます。