これは怖い!無法地帯のNFTアート その現場で何が起こっているのか

複製可能なのに75億円
足立 明穂

NFTは法律上存在しない?

NFTアートで売買されているのは所有権で、著作権などの知財権ではなく、あくまでも所有しているという権利だけ。これはリアルのアート作品と同じで、絵画を買ったからといってTシャツにプリントして販売することはできないですし、勝手に名称を変更することなどできません。ましてや、「俺がオリジナルを持っているのだから、コピーを使っている場合は金を払え!」ということもできないのです。

この所有権ですが、日本の法律では所有権は「有体物」にのみ適応される権利と定義されていて、デジタルのような「無体物」については定義されていません。ということは、NFTアートはデジタルなので、この所有権を売買しているといっても、法律では定義されていない権利の売買になります。「NFTでデジタルの所有権を買ったのに、騙された!」と訴えたところで、そもそものデジタル所有権は法律では存在していないので、その点での訴えは難しいことになります。

Photo by GettyImages
 
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この状況は、日本だけでなく、海外でも同じかと思われます。そもそもNFTという技術は2017年に登場した新しい技術で、それ以前に登場した暗号資産でさえ各国、解釈がバラバラになっているのですから、NFTについては海外においても法律上定義されているところはまだ出てきていないと思います。

もっとも売買行為を行っているので、そこには売買契約が成立しているという解釈は法的にも成立します。具体的に何に対する対価を支払ったのかはNFTマーケットプレイスの利用規約と個々のNFTアイテムに記載されている詳細情報で決められた内容になっているので、利用規約の細かい文字や個々のNFTアイテムに記載されている説明をしっかりと理解しておかないと、「高値になって転売しようとしたら、転売できないことになっていた!」ということも起きてしまいます。

今後は、デジタルアイテムだけでなく、リアルの商品やサービスと結びついたNFTアイテムも販売されるようになってくるので、細かな条件を見ておかないと提示しているのに読まなかった方が悪いということにもなりかねません。そして、そこを悪用して値上がりもしないどころか、そもそも価値がないようなアート作品を売りつけてくるケースも出てくるでしょう。

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