「ある日、業者がやってきて『隣の家の屋根を修理していたら、たまたまお宅の屋根が見えました。かなり傷んでいるようなので、雨漏りし始めたら取り返しのつかない状態になりますよ』と修理を勧められたのです。
下見に来た業者はさらに『入り口の段差を無くしたほうがいい』『壁紙も張り替えるべき』などと、たたみかけてくる。結局屋根だけなら200万円の予定が800万円まで膨らんでしまいました」(60代・女性)
老後資金に余裕があるうちこそ、こうした「無用なリフォーム」に手を出す人が多い。しかし「最低限」を見極めないと、出費はどんどん膨らむ。業者の営業マンがやってきても「資産防衛」の意識を持って対応をしよう。
「やってしまった!」人の対策一覧表はこれだ
贈与や相続などで間違えてはいけないポイントは、表にまとめた。この中には、一度やってしまうと取り返しがつかないものもある。
その筆頭が生前贈与だ。
「父親から長男に、年110万円まで非課税の暦年贈与を使い、2年かけて220万円を贈与したとします。もし父親が『贈与をなかったことにしたい』と言って、長男が同意しても、贈与を取り消すことはできません。長男が父親の口座に220万円を振り込めば、税務署から新たな贈与とみなされ、課税される可能性が高い」(山本氏)
年110万円ずつ贈与した金額を無税で戻してもらうという方法も使えなくはないが、時間がかかる上、息子からしてみれば「一度くれたカネを返せというのか」と、禍根を残すことになる。安易な生前贈与がいかに危ない選択か分かるはずだ。


一方、遺産の分け方については生きているうちなら対処のしようがある。子供にも理由を説明して、新たな遺言書を用意して「全財産を妻に相続させる」と書けばいい。法務局に預けている場合は、保管の撤回を申し出よう。