「自分で食べられる幸せ」を感じます

もう一つ拍車をかけたのが、手が動かなくなったという事です。なんとか自分で食べられていた頃は、まだ食に対する執着心があったような気がします。いわゆる犬食いと言われる、持ち上げられなくなったスプーンやフォークに顔を近づけていって食べるというやり方です。それでも自分で食べているのだという気持ちに支えられて、体重減少はなかったのです。

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現在はヘルパーの皆さんに食事介助をしていただいています。毎回「あ~ん」とあけた口に食事を入れてもらっているのです。当然、次から次へと勝手にヘルパーさんが口に放り込むわけではありません。基本的には私が「次はあれをお願いします」といって、口の中に適量を入れていただくわけです、ほおばることはなくなりました。すでに手が動かないわけですから、これに慣れなくてはいけないわけですし、感謝しなければと思います。

でも熱いものは当然として、ラーメン・うどんなどのすすり系やホットプレートの焼き物は、最初はリクエストしませんでした。我がままなんだけど、味が違うんですよね。お箸で挟んで自分のタイミングでハフハフしながら食べるものに関しては、避けました。その過程の美味しさを知ってしまうと、なかなか気持ちが許さないのです。食べさせてもらうようになって、スッと体重が落ちました。すぐに「もういいかな」と終わらせてしまって、胃が小さくなってしまって満腹感が早く来てしまったのです。

これまではお酒も大好きだったという津久井さん。むしろ己を元気づけるために肉を食べるようにしたことも 写真提供/津久井教生

お腹いっぱい食べたつもりで、実は量が減っていた訳ですね。体重が減るはずです、これではいけません。ご飯をしっかり食べないと「お腹が減って力が入らない~」という、部活動や演劇の稽古で感じた状態になっているはずです。ALS罹患を公表して2年を過ぎて「食べる」という事と常に向き合っています。必ず適量の食事を心がけることが最大の対症療法の一つだと思います。

基本的には体重を減らさないということがALS罹患者には大切なことなのです。簡単に言えばしっかりと食事がとれるようにするということなのだと思います。食べなきゃ痩せるのは当たり前です。また食べるには体力が必要なのだとよく分かりました。よくヘルパーさんに「食事は闘いじゃないから、美味しいと感じて笑顔で食べるね」と言います。食に関してもしっかりとモチベーションを持ち続けていたいと思います。

D訪問看護リハビリステーションとSケアの皆さん。介護スタッフのみなさまとともに笑顔でご飯を心がけています 写真提供/津久井教生

【次回は2月19日(土)公開予定です】

津久井教生さん「ALSと生きる」今までの連載はこちら

津久井さんが2021年1月23日に公開した動画。スクライドクーガー兄貴の名台詞も!贅沢なコラボです。