体重が顕著に減るのは良いことではない

私は、ALSの初期に悪循環のような体重減少が見られました。最初の症状が出始めたころは、出始めの部位に違和感はあるものの、通常の生活は送れていたのです。私の場合、体の異変に不安はあるものの食生活は維持できています。ただしこれは手や足からALSの症状が表れた場合で、呼吸器系統や嚥下に障害が現れた場合は一気に食事が摂れなくなります。これがALSの発症個所による個人差であると思ってください。

呼吸器系統や嚥下に障害が表れたら、早いうちに胃瘻造設や気管切開などの対症療法が必要になり、栄養補給の礎を作っていくのです。安定した状態まで持っていく間にすごく体重が減ります。この場合は、物を飲み込む筋肉機能に症状がおきているということになるので体重減少は避けられないと思います。食欲があって、お腹が空いているのに食べ物が飲み込めないという残酷な状況です。

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私の初期症状は足からでした。この場合の体重減少の要因は、運動不足でお腹が空かない感覚になったからだと感じました。別の角度からもう一つ感じた事を言うと「足が動かなくなったからお腹が空かないだろう」という少し卑屈な精神状態です。たくさん歩いて動き回り、疲れた感覚を受けて「栄養補給しなきゃ、お腹すいた」という脳からの指令がある。その指令が薄まってくるということなのでしょう。

「あぁ~お腹空いた、今日の晩御飯は何だろう」という感覚も薄まってきます。確かに最初のうちは「これからは美味しいものを食べることを楽しみにしよう」と食に関して活路を見いだそうともしました。ALS罹患者の先輩からも「津久井さん、動けるうちに、元気なうちに食べたいものを食べておいた方が良いよ!」ともアドバイスされていました。

その時は「大袈裟だなぁ~」と笑っていましたが、このアドバイスはその通りでした。自宅で妻の美味しい料理を食べるのは相変わらず嬉しいのですが、それでも1日のうち結構ベッドで過ごす中で食事は、慣れるまで大変でした。それと外食が出来なくなったとも影響しました。あんなに食べることが大好きだったのに、出歩けなくなることは、私にとっては大打撃でした。

NHKの食堂にて、妻の雅子さんと 写真提供/津久井教生