筋肉が動かなくなるのと同時に体重が減るのです

動かさなくなると筋肉が減っていくということは、ALSだけに言える事ではありません。2001年に私は左足の甲を開放骨折して8ヵ月余りの車椅子生活、その後松葉づえは3ヵ月を越えていたと思います。ただしずっと車椅子に乗っていた訳ではありません、動かせる右足で怪我をした当初から出来る限りの事はチャレンジしていました。

甲を貫通するようなケガで、状態が落ち着くまでは足を下につくことができずにいました。動かさないでみるみる痩せていく左足と、頑張っている分だけみるみる屈強になっていく右足。途中で気がついて観察日記を書きたくなったくらいです。と同時に、筋肉の差が目で見て分かるようになっていく状況にこう思いました。怪我が治った後のリハビリでバランスを取るのが大変だろうなと。

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ガンガン右足だけで色々な事をこなしていく私に、主治医から「怪我が落ち着いた時のリハビリで、足のバランスに違和感を感じますよ」と軽くストップがかかりました。そして「体重が増えると足のリハビリは支障が出ますよ」と運動不足なのに食欲の落ちない私に注意が入りました。動かさない左足はみるみる細くなり、それを補おうとする右足やほかの部分は発達するという不思議な体験をしました。

動かさないでいると筋肉は衰えていきます。そして筋肉は重いので、目に見えて体重が減ることになるのです。そして両足で歩くリハビリを開始した時にまともに歩けずに驚きました。ある程度想定していたとはいえ、怪我と同時に筋肉の大切さに気付かされた闘病体験でした。筋肉は結構すぐ痩せることもこの体験で知っていたので、ALSの怖さも想像できました。

これは2019年2月の舞台での写真。前列中央にいるのが津久井さんだ。舞台で走り回り、アクティブにすごしていた。だからこそ筋力の衰えに対しても敏感だ 写真提供/津久井教生

ALSは何らかの原因で運動ニューロンに障害を起こすのだそうです。だから自分の意思で筋肉を動かすことが出来なくなるのです。動かせない筋肉は減っていきます。それと同時にピクピクという動きを常時筋肉にさせます。意思に反して常に筋肉が勝手に運動するのです。CK(炎症反応)値が一気に上がるのはこのためだと思われます。こうして消耗もして筋肉が減少していき、体重減少につながるのです。