ゼロコロナへの疑問、米中衝突の危機…「北京五輪後に中国は大ダメージ」といえる「これだけの理由」
21世紀は中国の世紀だと言われてきたが、無理を重ねて、急激に膨張した大国に異変が生じ始めている。国際的孤立、内政の混乱、人民の不満、そしてコロナの激増—崩壊の序曲が聞こえてきた。その崩壊の根拠を前後編にわたり7つ挙げる。
(1)「ゼロコロナ」政策は大失敗
今年、世界が直面する最大のリスクは中国の「ゼロコロナ政策」の失敗だ—米国のリスク調査会社ユーラシア・グループが発表した論文が大きな波紋を呼んでいる。
同グループ社長のイアン・ブレマー氏がこう警告する。
「新型コロナが流行し始めた'20年に中国が行ったアプローチは世界で最も効果的なものでした。新規感染者を追跡し、大規模なロックダウンで感染拡大を防ぐことができた。しかし、昨年から爆発的に流行を始めたオミクロン株は、これまでの変異株とは段違いの感染力を持っています。
そして、中国製のワクチンはオミクロン株の感染拡大に効果はありません。つまり、ほとんどの中国人はオミクロン株に対する抗体を持っていない。これまで2年間、『国ごとロックダウン』を行ってきたため、再び国を開くことが危険になってしまいました」
2月4日に開幕する北京五輪を控え、中国政府はロックダウンを連発している。西安市では半月以上も都市封鎖が続き、オミクロン株の市中感染が確認された天津市では全市民を対象にPCR検査を行っている。

西安市では、1月1日に腹痛を訴える妊娠8ヵ月の女性が、陰性証明が4時間前に切れていることを理由に診察を拒否され、病院の前に放置されて死産するという悲惨な事件も起こった。
有効かどうかもわからないゼロコロナ政策のために、市民の生活が厳しく制限され、死人まで出ているのが現状だ。
「中国の政策では感染を抑えることができず、より厳しい封鎖が必要になるでしょう。その結果、経済的な混乱が拡大し、『中国はコロナに勝利した』という政府のプロパガンダに対して国民の不満が高まるはずです。
欧米が開発したようなmRNAワクチンを作り、ブースター接種を進めなければ、この状態からは抜け出せない。世界のサプライチェーンの要であった中国が、今年は苦境に立たされることになるのです」(ブレマー氏)