2022.01.30
# 週刊現代

美しすぎるオードリー・ヘプバーンに騒然…映画『マイ・フェア・レディ』が「最後の傑作」と言えるワケ

没後30年近く経ったいまも、熱烈な支持を集める女優、オードリー・ヘプバーン。『ローマの休日』をはじめ様々な映画に出演し、美貌と品格あふれる佇まいに多くの名演技を披露してきた。

そのなかの一つ、『マイフェアレディ』は1700万ドルの巨額を投じて制作された彼女の代表作に一つだ。その魅力を前編記事『騒然…女優オードリー・ヘプバーンが、名作『マイ・フェア・レディ』でみせた「美しすぎる」名演技』に引き続き紹介する。

競馬場シーンの実験的な演出

酒井美しさだけでなく、女優としての気概もありました。貧しい花売り娘を演じているシーンでは、生活に疲れた感じを出すため目の下に隈があるのですが、あれはノーメイクで本人の地です。恐らく睡眠時間を削って隈を作ったのでしょう。女優は素顔を晒すのを嫌うものですが、作品のためには努力を惜しまなかった。

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藤森周りを固める役者も名優揃いで味がある。筆頭がスタンリー・ホロウェイが演じたイライザの父親、アルフレッド。彼は舞台版でも同じ役を演じています。

酒井あの物語で最初から最後まで価値観がブレないのはアルフレッドです。ヒギンズの一計もあって、偶然大きな資産を手に入れるのですが、自分はお金持ちになっても貧乏人のほうが気楽だった、と言います。

藤森だったらお金を捨てればいい、とイライザに言われると「それは手放す勇気がない」と答える。実に人間らしいというか、中産階級になったことで出た本音というか。

あの小さな欲望が笑えるんだ。

酒井イライザが社交界デビューのリハーサルとしてアスコット競馬場に行く場面も忘れられません。ある程度正しい英語をマスターし、貴婦人然として振る舞っていた彼女が、競馬に興奮してつい素が出て「(馬の)ケツをひっぱたけ」と叫んでしまう。それを聞いて近くにいた女性が失神してしまうのも笑えます。

 

キューカー監督はあの場面でかなり攻めた演出をしています。競馬場はすべてセットですが、普通は危険だからセットの中で馬を走らせたりしない。さらに、あの場面でストップモーションという実験的な演出もしている。デジタル技術に頼らず、あれだけ大勢の役者が一糸乱れず動きを止めているのは驚異的です。

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