引退した70歳の夫婦が「高齢者向けの保険」に加入したことを「大きく後悔」した理由

「高齢になってからでも入れる」という保険のCMがこの数年、目立つようになりました。しかしなかには、そうした保険に加入するために、生活が貧しくなってしまうという高齢者もいると言います。FPの長野郁子さんが実例を元に解説します。

 

CMで目立つ「終活保険」

高齢者と現役世代の、生活における大きな違いは何かと言えば、毎日の自由に使える時間の長さだろう。高齢になって増えた自由時間を有効活用できればいいのだが、65歳になった私の経験でいうと、現役の時よりテレビを見る時間がずっと増えた。

若い人はテレビを見ない人も多いというので、日中の視聴者は圧倒的に私のような高齢者だろう。そのテレビで数年前から盛んに流されるCMが二つある。「私たちだって葬式代くらい準備したいわよね」という保険金受取額100万~200万円ぐらいの低額の生命保険(死亡保険)、もうひとつが「持病があっても高齢でも入れます」という医療保険。一般的には「シニア保険」と呼ばれる保険類だ。

私はこれらを「終活保険」と呼んでいる。

こうしたCMはテレビだけでなくラジオでも何度も繰り返されているし、新聞でも全国紙に全面広告が出ている。FPとして最初はあまりに保険受取額が低いので「こんな保険に誰が入るんだ」と思っていたのだが、CMの集中爆撃に飲み込まれた高齢者に売れているようなのでちょっと心配している。今回は契約した保険によって家計を圧迫された高齢者夫婦の例を取り上げ、本当に終活保険が必要かを考えてみる。

〔PHOTO〕iStock

私の元に相談に訪れたのは、和夫さん(仮名73歳)と幸子さん(仮名73歳)のご夫婦である。かつては小さなクリーニング屋さんを営んでいて、今は引退して年金生活だ。そんなご夫婦から「生活していけるか不安だ」という相談だった(FP相談を基に大幅に内容を変えてあります)。

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