マンガ/伊藤理佐 文/FRaUweb

冷蔵庫の中身を使い切るって難しい

コロナの自粛期間で、自炊が増えた。コロナ禍で料理を始めたという声も多い。
ではあなたは、自宅の冷蔵庫に入っているものをすべて把握しているだろうか。
そしてきちんと消費期限内に食材を使えているだろうか。

SNSなどでは、
「週に1度は冷蔵庫を使い切るデー」
「うちは野菜室が毎週日曜日にきれいに空っぽになり、買い出しに行く」
「冷蔵庫の中身使い切るのに今日豚汁にキノコまで入れてる」

などと書き込みがある。フードロスを減らし、美味しく食べるサイクルを作れているのは素晴らしいことだ。しかし毎日の食事作りに終われていると、意外とスッキリ使い切るのは難しい。というか、むしろ冷蔵庫が毎週空になるような使いきりかたができるのはよほどの高等技術で、いつのものかわからない食材が潜んでいる冷蔵庫の方が多いのではないだろうか。

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伊藤理佐さんの漫画『おいピータン!!』は、そんな「冷蔵庫あるある」エピソードが満載だ。
たとえば7巻1話の「中身拝見!」。これは「冷蔵庫の中身を見せてください」という番組がもし我が家に突然来たらどうしようとおびえる女性の話である。

賞味期限が切れていて封が開いているポン酢が2本入っていたり。
封の開いていないお漬物だけど消費期限は1年前のものだったり。
もはや何年前のものかわからない冷凍庫にはいっている干物のアジをみつけたり(一度死んでいるのにもう一度死んでいる……)。
さらには超高かったけど数年前のプラセンタをみつけたり(絶対肌につけたくない)……。

(c)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』7巻より

そしてこの主人公は、理由がわかっている。
「現実を見ないこと」「捨てられないこと」が理由だと。
だって、まだきっと食べられる、食べられるものは捨てられない。でも、じゃあ食べればいいじゃん、使えばいいじゃんと言われると、絶対美味しくないこともわかってるし、というか食べたら身体に悪いであろうこともわかっている……。そう、つまり本当は捨てなければならないモノがあるのに、目をつぶっているだけ、見たくないことから目を背けていただけだったのである。

実はそういう人は少なくないのではないだろうか。あまりにカオスになった場合は、一度すべての中身を冷蔵庫から出し、現実を見て処分するものは処分した上で、自分なりの冷蔵庫のルールを決める必要がある。「冷蔵庫のリセット」だ。

「リセット不要冷蔵庫」の家がドラマに

リセットの必要が一切なさそうな理想的冷蔵庫の持ち主が、『おいピータン!!』をはじめ、伊藤さんのいくつかのマンガを原作とした令和のホームドラマ『おいハンサム!!』(フジテレビ/東海テレビ 土曜日夜11時40分~)で吉田鋼太郎さん演じる主人公の伊藤源次郎である。伊藤家は吉田鋼太郎さんとMEGUMIさんが演じる父母と、木南晴夏さん、佐久間由衣さん、武田怜奈さん演じる三姉妹の5人家族だ。

『おいハンサム!!』はこの『おいピータン!!』と『渡る世間はオヤジばかり』の2作をはじめとした伊藤さんの複数のマンガの要素を織り込んでオリジナルで脚本が書かれている。例えば1話で吉田さん演じるお父さんが酔っぱらうシーンは『渡る世間はオヤジばかり』1話の「親父泥酔」だったり、3話で木南さん演じる長女・由香がと年下イケメンから食事に誘われるシーンは『おいピータン!!』で渡辺さんが年下の仕事相手からデートに誘われるシーンだったり、佐久間由衣さん演じる次女・里香が冒頭の「中身拝見!」にある「二度死んだアジ」を冷蔵庫から見つけたり(里香の名誉のために言うと里香の冷蔵庫はとても整理整頓されています)……マンガのファンとしては小ネタを探すのも面白い。

そしてこの家の冷蔵庫が「リセット不要」な冷蔵庫だと明確にわかるのが、2話でMEGUMIさん演じるお母さんが冷蔵庫を開けるシーンと3話の吉田鋼太郎さんとのシーン。『おいピータン!!』13巻3話の「卵の予言」の卵が出てくるからだ。