今さらだけど、菅義偉は正しかった...感染大爆発でわかった「アピール嫌い男」の強さ

小倉 健一 プロフィール

クスリは1つの施設に3人分だけ

しかし、岸田首相は「当面一時的に停止することを原則としつつ、知事の判断で引き続き利用することも可能にする」と表明。埼玉県はパッケージ登録店に限り、ワクチン2回接種や陰性証明の確認を条件に酒類提供を認めることにしたが、同制度の利用は認証店の1割程度。東京都などは制度利用を見送った。

別の自治体職員は「丸投げだけならまだ良いが、現場は武器が届かない『丸腰』状態。ワクチン不足で3回目接種が遅れていることに加えて、政府が対策の『切り札』とまで言い切った経口薬も全然足りていない」と憤る。

Photo by GettyImages
 
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昨年12月に特例承認された国内初の新型コロナ向けの経口薬「モルヌピラビル」は、「国民が安心して暮らせるための切り札になり得る」(後藤茂之厚生労働相)。政府は160万回分の供給契約を締結したというものの、全国2万2000の医療機関・薬局が待ちわびている状況だ。20万回分は配送されたが、「1つの施設に配布される薬は3人分で、いざという時にない」(首都圏の薬剤師)という。

厚労省を取材する全国紙記者が解説する。

「対応が後手に回り、内閣支持率が急落した菅前政権の轍を踏まないよう岸田政権は世論に敏感になっている。とにかく批判の矛先になることだけは避けたいので、自治体という『防波堤』に委ねている形だ。これならば、時短要請を受ける飲食店の不満も、失敗した時の責任も首相官邸には向かないと考えているのではないか。自民党は選挙を切り抜けるために、看板を替えたわけですが、やはり菅政権の方が正しいことをしていたということでしょう」

岸田首相は1月17日の施政方針演説で「政権の最優先課題は、新型コロナ対応です。しかし、政府だけで対応できるものではありません。国民皆で助け合い、この状況を乗り越えていきたいと思います」と協力を要請。その上で「一度決めた方針でも、より良い方法があるのであれば、躊躇なく改め、柔軟に対応を進化させていく所存です」と語った。

首相の言う「柔軟性」は、裏を返せば「主体性」がないことを意味する。国民の生命、財産を守るはずの国家の役割とは何かが今、改めて問われる事態を迎えているようだ。

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