アイデアは考え抜いた末に生まれる
料理人にはいろいろなタイプがいると思いますが、大きく分けて、新しい料理がひらめきから生まれるタイプと、考えに考えて、やっと絞り出てくるタイプとに分かれると思います。
私は後者の絞り出すタイプです。
ですから、いつも苦しい毎日を送っています。

とはいえ、本来、料理は苦しみから生み出すものではなく、楽しさから生み出されるべきものであって、そうしないとお客様には楽しさとおいしさは伝わらないのではないかとも考えています。
いつも切羽詰まると、お酒を飲んだり音楽を聴いたりして気分を楽しい状態に変えて料理を考えるようにしています。
私が献立を考える中でもっとも大切にしているのは季節感とおいしさです。この2つは日本料理を作るうえで外せない大事な要素です。
そして、どこか料理がお客様の想像を超えたものでないといけないとも思っています。お客様が実際、どのように感じているのかは別として(笑)、自分自身には毎月高いハードルを置いているのです。
お昼は、お料理だけで2万5000円、夜も3万3000円という、高額な料金設定に求められるものは、そういうことだと思います。
1日24時間、365日、ずっと料理のことだけを考えて過ごしているのです。